未来の自分に、地図を残しておく
最近、自分の暮らしの中にある「毎回やっている小さな手間」について、よく考えるようになりました。
編集の「準備と照合」で時間が溶けていた

動画を自分で作るようになって、気づいたことがあります。
編集作業そのものより、編集に入るまでの「準備」と「照合」で、けっこうな時間が溶けていることです。
台本があって、音声ファイルがあって、スライドがあって——それぞれは揃っているのに、どれをどこに当てればいいかを、自分の頭の中で毎回組み立て直していました。
「えっと、この音声は何番目のスライドの続きだっけ」
「これはオープニング、これはまとめ、あれ、間の一枚が抜けてる?」
そのたびに、少しずつ集中力が削られていきました。
ある日、ふと気になったんです。
この「毎回頭の中でやっている組み立て直し」は、本当に私がやる必要のある作業なんだろうか、って。
台本を書いた時点で、順番はもう決まっています。
音声のファイル名も、決まったルールで付けられています。
だったら、「何番のファイルはどのスライドに対応する」という対応関係は、もう最初から決まっている情報のはずなんです。
私が毎回やっていたのは、もう決まっていることを、もう一度確かめる作業だったのかもしれません。
そう考えたら、ちょっと立ち止まりました。
もう決まっていることを、毎回確かめ直すのは、もったいない。
確かめるたびに少しずつ集中力を失って、少しずつ本当に大事なところ——動画の中身そのもの——に向けるエネルギーが減っていく。
それは、私が望んでいる時間の使い方じゃないな、と思いました。
紙に書き出せることを、頭の中でやり続けていた

そこで、小さな仕組みを一つ作りました。
台本を書いた瞬間に、「どの音声がどのスライドに対応するか」を一覧にした、シンプルな表を自動で出してくれる仕組みです。
表といっても、Markdown で書かれた素朴なもので、見た目は飾り気もありません。
でも、その表を編集画面の横に置いておくだけで、もう迷うことがなくなりました。
「01 はオープニング」「11 はポイント1」——視線を動かすだけで分かる。
パズルを組み立て直さなくていい。
頭が楽になる。
できあがった表を初めて見たとき、私は小さく笑ってしまいました。
こんなに簡単な話だったんだ、と。
これまでずっと、頭の中で毎回やっていた作業は、実は全部、紙に書き出せることだったのです。
紙に書き出せることを、頭の中でやり続けるのは、もう卒業しようと思いました。
未来の自分に、小さな地図を残す

この小さな経験から、ひとつ大事なことを教わったと思います。
それは、「未来の自分のために、地図を残しておく」という考え方です。
未来の自分——たとえば明日の自分、来週の自分、1ヶ月後に同じような動画を作っている自分——は、今の自分と同じことで悩んでいるはずです。
同じ場所でつまずいて、同じ時間を溶かして、同じため息をつく。
だったら今の自分が、ちょっとだけ余分に工夫して、その地図を置いていけばいい。
明日の自分が、同じ迷路を歩かずに済むように。
これは、別に動画編集に限った話じゃないな、と思いました。
「自分はここで毎回迷っている」と気づいて、次の自分に小さな地図を残してあげること。
それだけのことなんだと思います。
今日、私は自分に一つ、小さな地図を残しました。
明日の私は、その地図のおかげで、1 つぶん楽に動画編集に入れるはずです。
今日の私が少し手間をかけたぶん、明日の私は少し余裕を持てる。
こうやって毎日、未来の自分に小さな親切を渡していくことが、暮らしを軽くしていく正体なのかもしれません。
自動化という言葉は、どこか冷たくて、効率を追い求める響きがします。
でも私がやっていることは、冷たい最適化ではなくて、もっとあたたかい作業だと思うんです。
「毎回迷っている自分を見つけて、その自分に優しくする」——そういうことを、コードと紙切れを使ってやっているだけ。
効率のためじゃなく、毎日を少しだけ機嫌よく過ごすために、今の自分が未来の自分に地図を書く。
そういう暮らし方を、これからも少しずつ増やしていきたいな、と思った一日でした。

