ポケットの絵に、名前のほうを合わせた日
作っている小さな道具に、新しいアイコンが付きました。
生成りのポケットに、色とりどりの吹き出しがひょこっと入っている絵です。
ライブ配信のチャットコメントを手元に残すための道具なので、コメントの吹き出しが袋に集まっている、というわけです。
我ながら、かわいいのができたと思いました。
ただ、困ったことがひとつ。
道具の名前は「コメ帳」だったんです。
帳。
つまりノート。
アイコンのどこを見ても、ノートはありません。
あるのはポケットです。
絵を変えるか、名前を変えるか

じつは「帳」のアイコンも作ってあったので、絵のほうを差し替えることもできました。
名前を変えるのと、絵を変えるの、手間はほとんど同じ。
だったら、どちらが中身に合っているかで決めよう、と思いました。
考えてみると、この道具を使う人は、何も書きません。
帳面というのは、自分で書き付けるものです。
家計簿も日記も、手を動かして残していく。
でもこの道具は違って、配信の中を流れて消えていくコメントを、そっと拾って持ち帰るだけ。
使う人は見ているだけでいい。
書き付けるノートではなくて、拾って入れるポケットのほうが、この道具の正体でした。
それで、名前のほうを変えました。
コメ帳あらため、コメポケ。
名前が決まると、道具が育ち始めた

不思議なもので、名前がしっくりきた途端、直したいところが次々見えてきました。
その夜はちょうど知り合いの配信があったので、コメポケを連れて入ってみました。
すると出てくるわ出てくるわ、机の上のテストでは見つからなかった不具合が、本物の配信の中でぽろぽろと。
拾えていないように見えて、実は別の箱に入っていたこと。
同じ配信なのに箱が2つに分かれていたこと。
配信主の名前が出るはずの場所が「不明」のままだったこと。
ひとつずつ直して、入り直して、また直して。
気づけば明け方で、道具は一晩でずいぶん頼もしくなっていました。
名は体を表す、の逆

「名は体を表す」と言いますが、今回は逆でした。
体に合わせて、名を直した。
そうしたら今度は、名前が道具を引っ張ってくれるようになった気がします。
「ポケットなんだから、拾ったものをちゃんと持ち帰らないと」と、直す手にも理由がつく。
自分の作るものに、ぴったりの名前をつける。
それだけのことが、思っていたよりずっと大きな一歩でした。
ポケットは今夜も、誰かの「こんばんは」を持ち帰っています。

