URLから「よその名前」を消したかっただけなのに
娘のために作っているAI英会話アプリがあります。
マイクボタンを押すとAIが英語で話しかけてくれて、娘がそれに答える。
わからなかったら日本語で聞いてもいい。
そういうアプリです。
URL に「vercel」が入っているのが引っかかっていた

ずっと気になっていたことがありました。
アプリのURLに「vercel」と入っていること。
Vercelは、アプリを公開するためのサービスの名前です。
便利だし、無料で使わせてもらっていました。
でも、自分が作ったサービスのURLに、よその会社の名前が入っている。
たったそれだけのことが、ずっと引っかかっていました。
引っ越したら、画面が真っ白になった

「引っ越そう」と決めました。
Firebase Hostingという別のサービスに移せば、URLを「mimico-garden.web.app」にできる。
自分のサービス名が入ったURLになる。
「まあ、すぐ終わるでしょ」と思っていました。
甘かった。
デプロイ——つまり、新しい場所にアプリを公開する作業——自体は、すんなり通りました。
「完了!」のメッセージが出て、「よし、終わった」と思いました。
でも、画面を開いたら何も表示されない。
背景色だけが表示された白い画面。
ボタンもロゴもない。
エラーメッセージも出ない。
何が間違っているのかすら、わからない。
そこから3時間、格闘しました。
原因は1つじゃなかった。
古いキャッシュが残っていた。
権限の設定を間違えていた。
ページを移動するときに「何も表示しない」コードがあった。
1つ直すと、別のところが壊れる。
シークレットモードで開くと動く。
普通に開くと動かない。
ブラウザを再起動すると動く。
しばらくすると、また動かなくなる。
何が正しくて何が間違っているのか、だんだんわからなくなってきました。
外部のサービスが変わるだけで、アプリは止まる

一番驚いたのは、最後に残った問題でした。
音声会話の機能が動かない。
接続はできている。
でも、AIが何も話さない。
調べてみたら、昨日まで使えていたAPIの設定項目が、今日から使えなくなっていました。
自分のコードは1行も変えていないのに、外部のサービスが変わっただけでアプリが止まる。
こういうことがあるんだ、と思いました。
アプリを作って公開するということは、自分のコードだけじゃなくて、外の世界の変化にも影響を受けるということです。
当たり前のことかもしれませんが、身をもって初めて知りました。
自分が何もしていなくても、世界の方が動く。
それに対応し続けるのが「運用」というものなんだと思います。
全部直し終わったのは深夜2時でした。
マイクボタンを押すと、AIが英語で話しかけてきました。
娘はとっくに寝ています。
でも、ブラウザのアドレスバーには「mimico-garden.web.app」と表示されていました。
URLに「vercel」はもう入っていない。
たったそれだけのことなのに、嬉しかった。
たぶん、娘はURLなんて見ないと思います。
「vercel」が入っていようが「mimico-garden」だろうが、関係ない。
でも、自分にとっては意味がありました。
自分で作ったものに、自分の名前をつけること。
小さなことだけど、「これは私が作ったものだ」と胸を張れる感じがしました。
3時間かかったけど、タダでは転ばない。
この3時間で学んだことは、次に必ず役に立ちます。
途中、「もうVercelに戻そうかな」と思いました。
戻せばすぐ動く。
URLに「vercel」が入っているだけで、使う分には何も困らない。
でも、戻したくなかった。
ここで「面倒だからやめよう」をやると、次もまた同じところで止まる気がしたんです。
小さな妥協が積み重なると、だんだん自分のものじゃなくなっていく。
自分が作ったものに、自分の名前をつける

「自分の名前をつける」って、大げさなことじゃありません。
URLなんて、ほとんどの人は見ない。
娘だって気にしない。
でも、自分が作ったものに自分の名前がついていることで、「これは私のものだ」と思える。
その感覚が、次の一歩を踏み出す力になります。
完璧じゃなくていい。
効率的じゃなくていい。
自分が「こうしたい」と思ったことを、自分の手で実現する。
そのプロセスで得られるものは、結果以上に大きいのかもしれません。
深夜2時の達成感は、きっとそういう類のものでした。

