「大丈夫」は、確認した人だけが言える言葉
引っ越しが終わりました。
昨日の話です。
新しいサービスにアプリを移して、全部の機能を作り直して、古い設定を消して、書類も全部書き換えました。
「終わった」と思いました。
「たぶん動く」を、全部の蛇口をひねって確認する

でも、まだやることが1つ残っていました。
全部の蛇口をひねること。
引っ越しでいえば、水道、ガス、電気、インターホン、給湯器。
一つずつ確認する作業です。
アプリでいえば、ログイン、データ登録、編集、削除、AI診断、履歴表示。
全部で15項目くらい。
「たぶん動くだろう」とは思っていました。
でも「たぶん」は「確認した」とは違います。
確認して初めて、3つのバグが見えた

1つずつ試していきました。
ログイン。
OK。
サインアウト。
OK。
ケース登録。
OK。
順調でした。
AI診断のボタンを押しました。
キャラクターが返事をくれました。
OK……と思ったら、画面の下に赤い文字。
「診断結果の取得に失敗しました。」
えっ、と思いました。
さっきキャラクターは返事をくれたのに。
原因を調べていくと、小さなズレが見つかりました。
データを保存するときの名前と、読み出すときの名前が、微妙に違っていました。
「diagnosis_result」と「diagnosis_json」。
人間が見たら同じものだってわかります。
でもコンピュータには通じません。
もう1つ見つかりました。
AI診断を使うとクレジットが1枚減るはずなのに、何度やっても減りません。
調べてみたら、クレジットを減らす処理そのものが書かれていませんでした。
別のファイルにはちゃんと書いてあるのに、こっちのファイルには最初から入っていませんでした。
さらにもう1つ。
能力分析のグラフが、きれいに表示されたあと、スーッと消えていきます。
これは原因を見つけるのに時間がかかりました。
最初は「組み立て方が悪い」と思って直しました。
治りませんでした。
次に「古いプログラムが残っている」と思って設定を変えました。
治りませんでした。
3回目の仮説で、やっと当たりました。
グラフを描く仕組みが、ページのレイアウト変化に過敏に反応して、自分で自分を消していました。
3つのバグ。
全部、引っ越しのときに作り込んだもの。
荷物を運んだときは「動くかどうか」を確認していました。
でも「正しく動くかどうか」は、また別の話でした。
蛇口をひねらないと、お湯が出るかはわかりません。
「大丈夫」は、確認した人だけが言える

これ、日常でもよくあることだと思います。
「提出した」と「確認してもらった」は違います。
「伝えた」と「伝わった」は違います。
「やった」と「大丈夫」は違います。
「大丈夫」は、確認した人だけが言える言葉です。
「たぶん大丈夫」は、まだ確認していない人の言葉です。
全項目を確認し終えました。
ログイン、サインアウト、ケース登録、編集、削除、AI診断、履歴表示、クレジット消費、アバター画像、キャラクター切り替え、ダッシュボード。
全部、動いています。
これでやっと「大丈夫」と言えます。
引っ越しが、本当の意味で終わりました。
蛇口をひねるのは、面倒な作業でした。
1つひねって確認して、次をひねって確認して。
15個もあると、途中で「もう全部大丈夫でしょ」と思いたくなります。
でも、3つ目のバグが見つかったのは、10個目の蛇口でした。
もし途中でやめていたら、気づかないまま放置していました。
「まだ残っているかもしれない」と思いながら全部ひねる。
その面倒さを引き受けた先に、やっと安心があります。
グラフが消えるバグを直したとき、少しだけ達成感がありました。
でもそれは「きれいに直せた」という達成感じゃなくて、「ちゃんと全部確認してよかった」という安心感に近いです。
確認しなかったら、このバグはずっと残っていました。
誰も使っていないアプリだから、誰にも気づかれないまま。
でも「動くポートフォリオ」として残すなら、ちゃんと動いていないと意味がありません。
確認は、不安を「大丈夫」に変える作業です。 面倒だけど、それをやった人だけが安心して眠れるのだと思います。
管理する場所は、1つがいい

もう1つだけ、やることがありました。
表札をかけること。
アプリのURLを、自分のドメインに変える作業です。
仮住まいの住所じゃなくて、ちゃんとした住所にします。
これがまた、すんなりいきませんでした。
設定を変えたはずなのに反映されません。
なぜかログインできません。
1つ直すと別のところが動きません。
原因は、住所の管理が2ヶ所に分かれていたこと。
どっちが本物かわからない状態になっていました。
片方は実は使われていませんでした。
整理して、1ヶ所にまとめて、もう一度やり直したら、すんなりいきました。
これも、日常でよくある話かもしれません。
書類を2ヶ所に保管していて、どっちが最新かわからなくなります。
連絡先が複数あって、どこに連絡すればいいかわからなくなります。
管理する場所は、1つがいいです。 2つあると、どっちが正しいのか確認する手間が増えます。
しかも、片方が古いまま放置されて、混乱のもとになります。
表札をかけて、鍵が使えることを確認しました。
これでやっと、本当に引っ越しが終わりました。
蛇口をひねって、表札をかけて、鍵を確認する。
面倒な作業ばかりです。
でも、その1つひとつを終えるたびに、「ここが自分の場所だ」という感覚が少しずつ育っていきます。
安心は、手を動かした分だけ積み上がるものなのかもしれません。

