「それ、Googleがもうやってた」と気づいた日
自分でブックマーク管理アプリを作っていました。
URLを保存して、コレクションに分けて、サムネイルを表示して。
かなり気に入っていたんです。
ある日、Googleアカウントのメニューをなんとなく眺めていたら、「保存済み」という項目が目に入りました。
開いてみたら、同じことができた。
URLをコレクションに分けて保存する機能。
Googleが、とっくに用意していたんです。
ちょっと悔しい。

でも、悔しいだけじゃなかった
正直、最初は「えっ」と思いました。
自分が何日もかけて作ったものと同じ機能が、Googleにはもう備わっていた。
でも、不思議と落ち込みはしませんでした。
むしろ「自分が必要だと思ったものは、やっぱり必要なものだったんだ」と感じました。
Googleが作るくらいだから、需要はある。
方向性は間違っていなかった。
それに、Googleの「保存済み」を実際に使ってみると、ちょっと使いにくかったんです。
ワンクリックで保存できない。
コレクションを選ぶまでに何ステップもかかる。
「じゃあ、それを便利にする拡張機能を作ればいいじゃないか。」
全部自分で作らなくていい

ここで私の中で、ものづくりへの考え方が少し変わりました。
ゼロから全部作ることだけが「ものづくり」じゃない。
すでにあるものを、もっと使いやすくすること。
それも立派な創造です。
Googleが用意したインフラの上で、自分が感じた不便を解消する。
車輪の再発明じゃなく、車輪にタイヤを履かせるような感覚です。
調査がいちばん楽しかった

拡張機能を作り始めて、最初にやったのはAPIの調査でした。
Googleの「保存済み」機能には公式APIがない。
だからブラウザの開発者ツールでネットワーク通信を観察して、どんなリクエストが飛んでいるか一つずつ確認していきました。
地道な作業です。
でも、こういう「解き明かしていく過程」が、実はいちばんワクワクしました。
URLのパスが1文字違うだけで動かなかったり、エラーの原因が些細なタイプミスだったり。
何時間も格闘した後に「動いた」瞬間の喜びは、何度経験しても色褪せません。
既にあるものを、もっと良くする。
それも「ものづくり」です。
「悔しい」が原動力になった

最初に「Googleがもうやってた」と気づいたとき、正直なところ、がっくりしました。
何日もかけて作っていたものと、同じ機能がすでに存在していた。
しかも、大手の安定したインフラの上で。
個人が太刀打ちできるわけがない。
でも、しばらくして気づいたんです。
悔しさが消えたわけじゃなくて、形を変えていたことに。
「じゃあ、もっと良くしてやろう」と思ったんです。
Googleの「保存済み」は便利だけど、ワンクリックで保存できない。
コレクション選択に何ステップもかかる。
毎日使う機能なのに、毎日ちょっとだけ面倒くさい。
その「ちょっと」を解消するだけで、体験はぐっと変わります。
答えは調べてもわからなかった

拡張機能を作る過程でいちばん苦労したのは、公式の情報がないことでした。
Googleの「保存済み」機能には、開発者向けの説明書がありません。
どうやってデータを保存しているのか、どんな通信をしているのか、公開されていないんです。
だから、自分で調べるしかなかった。
ブラウザの裏側で何が起きているのかを、一つずつ観察していく。
地味で根気のいる作業です。
でも、謎解きのようでもあって、不思議と退屈しませんでした。
答えは誰も教えてくれない。
自分で見て、記録して、法則を見つけていく。
「ものづくり」の形はひとつじゃない

新しいものを作るだけが「ものづくり」じゃありません。
あるものを手入れして使い続ける、それも立派なものづくりだと思うんです。
今回の拡張機能は、ゼロからサービスを生み出したわけではありません。
Googleが作った大きな仕組みの上で、使い勝手の悪いところに手を入れただけ。
でも、その「手を入れる」という行為が、自分にとっても、いつか使ってくれるかもしれない誰かにとっても、価値のあることだと信じています。
ゼロから作ることだけが「すごい」わけじゃない。
すでにあるものを、もっと良くする力も、大切にしたいと思います。
小さな改善が暮らしを変える

大きな発明じゃなくていいんです。
「ここがちょっと不便だな」と感じたところを少しだけ良くする。
それだけで、毎日の気分が変わります。
些細なことでも、毎日繰り返すことだからこそ、小さな改善の効果は大きい。
今回作った拡張機能も、やっていることは「ワンクリックで保存できるようにしただけ」です。
でも、その「だけ」が、毎日使うものだからこそ意味を持つのだと思います。

