壊れて見えたものは、壊れていなかった
自分で作ったボットで、記事の下書きを触っていました。
一通り動くようになって、念のため WP の管理画面で中身を確認しようと思いました。
「ちゃんと保存されてるかな」と、下書きを開いた瞬間でした。
エディタ画面が赤かった

正確には、赤い枠の警告ブロックがずらっと並んでいたんです。
このブロックには、想定されていないか無効なコンテンツが含まれています。
「復旧を試みる」という青いボタンも付いていて、いかにもヤバそうな雰囲気でした。
「壊れた」と、瞬間的に思いました。
ボットが下書きを触ったときに、中身を壊したのかもしれない。
ここ数日、AI と対話しながらゆっくり書き溜めてきた原稿が、全部飛んだのかもしれない。
ヒヤッとしました。
でも、よく見たら、本文は読めた

落ち着いて画面を眺めると、警告ブロックの前後の段落は、普通に表示されていました。
見出しの位置に警告が出ているだけで、見出しの文字自体は見えていて、読もうと思えば読めるんです。
「もしかして、中身は無事?」
そう思って、試しに一本だけ公開してみました。
公開したあとで下書きに戻せば、読者の目には触れません。
リンクを開いて、表示された記事を見ました。
普通に綺麗でした。
警告も赤枠も何もない、普通に整った記事が並んでいました。
見出しも、段落も、全部ちゃんと表示されていました。
エディタで警告が出ていたのが、まるで嘘みたいでした。
原因は、クラスが1つ足りなかっただけ

そのあと、原因を探しました。
使っている WP のテーマが、見出しブロックに独自のクラスを自動で追加する仕組みになっていて、私のボットがそのクラスを付けずに保存していました。
ブロックを読み込む側(エディタ)は、「このブロックは本来こういう形のはず」という期待を持っています。
期待と実物が1文字でもズレると、「壊れてます」と警告を出すんです。
見た目には分からないくらいの差でも、エディタは律儀に「無効です」と言ってくる。
でも、その警告は、記事の中身とは関係ありませんでした。
スクリプトを1つ書いて、全下書きの HTML を少しずつ書き換えて、クラスを正しくしたら、警告は全部消えました。
「壊れているように見える」と「壊れている」は別物だった

この夜の出来事を振り返っていて、私は少し別のことも考えました。
私たちは日常の中で、赤い警告や、強い言葉や、誰かの険しい表情を見ると、反射で「何か壊れた」「ダメだった」と思ってしまうことがあります。
何かを指摘されたり、返信が来なかったり、冷たくされたりしたとき、一瞬でその場の全部が台無しになったと思う。
でも、よく見ると、実際には何も失われていない、ということがあります。
会話の中身は壊れていないし、関係も壊れていないし、私自身も壊れていない。
ただ、表示される「ラベル」や「表情」が、警告の形をしていただけ、ということがあるんです。
慌てる前に、中身を確かめる

今夜のボットの件で学んだのは、「壊れているように見える」と「本当に壊れている」は、確かめないと区別がつかないということでした。
エディタの警告を信じて「全部やり直し」と思っていたら、私は何時間も無駄にしたかもしれません。
でも、一度落ち着いて公開ページを見に行ったら、中身は無事でした。
人との関係も、同じことがあると思います。
誰かの一言で「もう終わりだ」と思ったとき、実際の相手の気持ちを聞いてみると、そこまでじゃないことがあります。
誰かの冷たい返信の後ろには、単にその人が疲れていただけ、ということがあります。
表示と実体は、違うことが多い。
警告ブロックを、ひとつずつ消す夜でした

最終的に、私は1343件の下書きの HTML を、スクリプトで一気に修正しました。
原因が分かれば、あとは機械の仕事でした。
でも、本当に直したかったのは、たぶん「警告を見て瞬間的に慌てる、自分の癖」の方だったと思います。
赤いマークは、いつも本当のことを言うとは限らない。
何かに「壊れた」と言われたとき、すぐに信じ込まないで、一度、中身を見に行く。
front-end が無事なら、たぶん大丈夫。
そういう暮らし方を、少しずつ身につけていきたいです。

