「鬼error」と書いた日の私へ
毎日の記録って、つけていますか。
日記、家計簿、体重の記録。
始めてみたけど続かなかった、という方も多いかもしれません。
私もそうでした。
日記帳を買っては3日で白紙になり、手帳は12月のページだけ真っ白のまま翌年を迎える。
でも今日、10ヶ月分の「記録」を読み返して、驚きました。
ちゃんと残っていたんです。
300回以上も。
意識せずに残っていた300回の記録

私はプログラミングで開発をしています。
プログラムを保存するとき、一言メモを添える仕組みがあります。
「ログイン画面を作った」とか「色を変えた」とか、そのとき何をしたかを書く欄です。
意識して日記をつけていたわけではありません。
作業の区切りに、ただ事実を書いていただけです。
でも10ヶ月後に読み返したら、それは日記でした。
「鬼error」と叫んでいた日のこと

去年の6月に、最初のアプリを作り始めました。
ハラスメントを記録するためのアプリです。
自分が職場で受けた経験から、「記録しておかなきゃ」という気持ちで作りました。
プログラミングの経験はほぼゼロ。
AIに聞きながら、手探りで。
実はその少し前に、上司に「アプリを作れ」と言われて挑戦したことがあります。
でもそのときは、途中で立ち止まりました。
外側はできたけど、「ここからどうすればいいの?」がわからなかった。
そしてその強制が、私の体を壊す原因の一つになりました。
退職して、静かな環境で暮らし始めて。
それから自分の意思で、もう一度作り始めました。
強制されたときは1行も進まなかったのに、自分で選んだら27日間で143回も保存していました。
その143回分のメモを、今日全部読みました。
「GeminiとWindsurfにコードを消される」
7月5日のメモです。
AIに手伝ってもらっていたのに、そのAIに自分のコードを消されてしまった日。
たった一行のメモなのに、あのときの絶望感がよみがえってきます。
「変更しすぎてわからなくなった」
これは7月13日。
あちこち直しているうちに、何がどうなっているのか自分でも追えなくなった。
部屋の片づけで全部出したはいいけど、しまう場所がわからなくなった、あの感じと似ています。
そして、こんなメモもありました。
「鬼error 鬼errorerrorerror 半日がかりで修正できたぽい」
半日かけてエラーと戦って、やっと直せたとき。
きれいな言葉なんて出てこない。
「鬼error」としか言えなかった。
でも、あの達成感は本物でした。
2つ目のアプリでは、1日で16回も保存した日がありました。
朝から晩まで、ずっと画面に向かっていたんだと思います。
3つ目のアプリを作るころには、こんなメモが出てきます。
「Claudeなにやってんた」
AIに向かって「何やってんの」と突っ込んでいる。
余裕が出てきたんですね。
最初は「わからない」「消された」と不安ばかりだったのに、3つ目のアプリでは相棒にツッコミを入れるくらいになっていました。
続けようとしなかったから、続いていた

日記を続けられなかった私が、300回以上の記録を残せた理由。
たぶん、「記録しよう」と思っていなかったからです。
作業の区切りに、ただその瞬間の事実を書いた。
「エラーを直した」「画面を作った」「鬼error」。
それだけ。
日記帳を開いて「今日は何を書こう」と考える手間がなかった。
続けようとしなかったから、続いていた。
一番生々しかったのは、誰にも見せない一言だった

読み返してもう一つ気づいたことがあります。
チャットの履歴やメモ帳にも記録は残っていますが、一番生々しいのは、この一言メモでした。
AIに相談する前の、一人で画面に向かっているときの言葉。
誰にも見せるつもりがない、自分だけの一言。
「鬼error」は、日記帳には書かない言葉です。
でもあのとき確かに、画面の前で「鬼!」と叫んでいた自分がいた。
その言葉が、10ヶ月後の今、一番胸に来ました。
記録は、未来の自分へのメッセージ

記録は、未来の自分へのメッセージなのかもしれません。
あの日の「鬼error」と書いた私へ。
半日かけて直したあのエラー、ちゃんと直ってたよ。
そしてあれから10ヶ月、まだ毎日コードを書いてるよ。
日記が続かない人でも、何かの「ついで」に残す一言なら、続くかもしれません。
仕事が終わったついでに一行だけ書く、それくらいの軽さで。
その一行が、いつか自分を支えてくれる日が来るかもしれません。
私は今も、コードを保存するたびに一言メモを書いています。
「エラーを直した」「画面を整えた」。
たまに「なんでこうなるの」と愚痴みたいなメモも混ざります。
でも、それでいいと思っています。
きれいに書こうとした瞬間に、続かなくなる。
雑でいい。
短くていい。
ただ、やめないこと。
それだけが、未来の自分への贈り物になるのだと、10ヶ月分のメモが教えてくれました。
今日もまた、保存ボタンを押して一言書きます。
「鬼error」の日も、「うまくいった」の日も、全部ひっくるめて自分の記録です。
いつかまた読み返す日が来たとき、きっとまた驚くのだと思います。

