記事の棚に名札をつけたら、自分の輪郭が見えた
ブログに743本の記事があります。
でも、その半分近くに「タグ」がついていませんでした。
タグというのは、記事の目印のようなものです。
「この記事はセブ島の話」「こっちはネイルの話」と分類するためのラベル。
本屋さんでいうと、棚に貼ってある「小説」「エッセイ」「料理」みたいなもの。
362本の記事に、その名札がなかったんです。
後回しにしていた理由

正直に言うと、面倒だったからです。
記事を書くとき、一番やりたいことは「書くこと」であって、「分類すること」じゃない。
タグを選ぶのは、引っ越しのときに段ボールにラベルを貼る作業に似ています。
中身を入れる方が楽しくて、ラベルは後回しになる。
でも、ラベルのない段ボールは、開けてみないと中身がわからない。
結局あとで困るのは自分です。
設定済みの記事も問題がありました。
Mintor関連190本がすべて「Mintor」タグ1個だけ。
VTuber系38本は全部「AI開発, 独学」の組み合わせ。
最初にまとめて設定したときに、一律で同じタグをつけてしまったんです。
記事の中身を読まずに。
洋服を全部「衣類」と書いた段ボールに入れるようなものです。
間違ってはいないけど、探すときに役に立たない。
機械が間違えたところに、自分が見えた

全部手作業でやるのは大変なので、自動判定するスクリプトを作りました。
記事の内容を読んで、合いそうなタグを提案してくれる仕組みです。
ところが、この機械が面白い間違いをする。
「サムネイル」という言葉に反応して、「ネイル」タグをつけてきました。
サムネイルは画像の小さいプレビューのことで、爪のネイルとはまったく関係ありません。
でも機械は「ネイル」という文字が含まれているから「ネイルの話だ」と判断する。
「Kredo」という学校名にも反応して、「親子留学」タグをつけようとしました。
たしかにKredoは語学学校です。
でも、私にとってKredoは留学先じゃなくて、10年間働いた職場でした。
機械は言葉の意味を知っているけど、私の人生は知らない。
言葉の裏にある文脈は、人間が教えてあげないとわからないものなんです。
だから、機械が提案したタグを一つずつ確認して、「これは合ってる」「これは違う」と修正していきました。
その作業が、なんだか自分の人生を振り返るような時間になりました。
島暮らしが、全部に滲んでいた

一番驚いたのは、開発記事の中に「島暮らし」のキーワードがたくさん入っていたことです。
100本以上。
開発の話をしているつもりだったのに、どの記事にも島暮らしが滲み出ている。
考えてみれば当然かもしれません。私はこの島で暮らしながら、この島から開発をしている。 開発と島暮らしは、私の中では分けられないものだったんです。
タグをつける作業で、それに気づきました。
私がページの読み込み速度にこだわるのは、技術的な正しさのためじゃなくて、自分が「遅い」と感じたから。
暮らしの延長線上に開発がある。
それが、私の記事の特徴だったんです。
名札をつけるということ

220本の記事のタグを更新しました。
292個のタグを新しくつけて、2個を修正しました。
記事を書いた時点では「今日やったこと」でしかなかったものが、タグをつけると「テーマ」になります。
バラバラだった記事が、線でつながるんです。
「シングルマザー」のタグをつけた記事を並べてみると、娘の成長記録になっていました。
1歳の誕生日、初めて歩いた日、お小遣い制を始めた日。
それぞれ別の日に書いた記事なのに、タグでまとめたら、一つの物語が浮かび上がってきました。
「セブ島」でまとめると、海外生活の年表になっていました。
到着した日、洪水の日、帰国の日。
時系列で書いたわけでもないのに、タグが時間の糸を通してくれた。
整理整頓って、そういうことなのかもしれません。
散らかった部屋を片付けるのと同じで、物の場所が決まると、自分が何を持っているのかが見える。
持っているものの輪郭が、やっと見えるようになる。
棚がない記事が、604本あった

ブログの743本が終わって、ほっとしました。
でも、棚卸しはまだ途中でした。
noteの下書きが270本、技術記事が334本。
合わせて604本。
こちらはタグがないどころか、カテゴリすら設定されていませんでした。
名札がないのではなく、名札を貼る棚自体がなかった。
ファイル名を手がかりに、「この記事はMintorの開発日記だな」「これはn8nの自動化の話だな」とカテゴリを振り分けていきました。
ここでも機械は面白い間違いをしました。
ある記事に「Gemini」というAIツールの名前が7回出てきたので、「AI活用」に分類しようとしたんです。
でもそれは、リサーチの中でたまたまツールに触れていただけで、記事のテーマはまったく別のものでした。
2025年以降の記事には、AIツールの名前がだいたい出てきます。
ChatGPTを使って調べた、Claudeに聞いた、と。でも「道具の名前が出てくること」と「道具がテーマであること」は、まったく違います。 包丁が登場するだけで料理記事にはならないのと同じです。
結局、シンプルなルールに戻しました。
ファイル名に「n8n-」とついているものだけをAI活用に分類する。
中身を読んで賢く判断しようとするより、書いたときにつけたファイル名を信じる方が正確でした。
1,347本の名札

ブログ743本、note270本、技術記事334本。
全部合わせて1,347本。
まだフロントマターの形式が古い記事が3本残っていたり、WordPress側のタグ更新がこれからだったり、完全ではありません。
でも、1,347本の棚に名札がついた。
整理整頓って、そういうことなのかもしれません。
散らかった部屋を片付けるのと同じで、物の場所が決まると、自分が何を持っているのかが見える。
持っているものの輪郭が、やっと見えるようになる。
自分のブログが、少しだけ自分のものになった気がしています。
片付けても、片付けても

名札を作ったら、今度はそれをWordPressの棚に貼りに行かないといけません。
707件を一括で更新しました。
32件だけエラーが出ました。
調べたら、以前「同じ記事が2つある」と気づいて片方を消したことがあったんです。
でも、手元の記録には消した方のIDが残っていた。
片付けるたびに、次の散らかりが見つかる。
フロントマターの形式が違う記事が3本見つかったり、Zenn用のフォーマットがなぜかブログのフォルダに紛れ込んでいたり。
でも、散らかりが「見える」ようになったのは、周りが片付いたからです。
部屋が散らかっているときは、床のゴミに気づかない。
でも机の上がきれいになると、引き出しの中が気になり始める。
**整理は終わらないものなのかもしれません。
でも、整理するたびに、少しだけ輪郭がはっきりする。** それでいいのかな、と思っています。
3行の投稿が、物語になるまで

タグの整理が終わって、今度はリライトに取りかかりました。
Facebookから移行した記事17本。
どれも短い投稿です。
「調停でDNA検査することになりました。
費用は10万円を折半です。
高いです。
でも、娘のために頑張ります。」
3行です。
でも、この3行の裏には、書けなかった物語がありました。
AIがリライト案を作ってくれましたが、26箇所に「本人に確認が必要」という印がついていました。
心療内科に行ったきっかけは?
セブ島に行こうと思った理由は?
調停の結果はどうなった?
一つずつ答えていきました。
答えながら思いました。
あの頃の私は、書く気力がなかったんじゃない。言葉にする余裕がなかっただけだったんです。
3行に収まるほど、言葉が出なかった。
でも、出来事はちゃんとあった。
感情もあった。
支えてくれた人もいた。
17本のリライト案をWordPressに下書きとして投稿しました。
元の3行の記事と並べて、自分で直していきます。
AIが書いた文章を、自分の言葉に戻す作業です。
整理整頓の続きです。
今度は名札じゃなくて、中身を書き直す番。
散らかった部屋を片付けたら、次は引き出しの中身を整理したくなる。
そういうものなのかもしれません。

