「分かりにくい」は、使う人のせいじゃないという話
夜、自分が作っているサービスの設定画面を、ひとりのユーザーとして触っていました。
メールアドレスを変えるボタンを押して、新しいアドレスを入れて、確認メールのリンクを開きます。
すると、ログイン画面に飛ばされて、メールアドレスは変わっていませんでした。
作った本人なのに、「あれ、これでいいんだっけ」と手が止まりました。

自分で使うと、分からない所がわかる
Googleでログインしている人が、アカウントはそのままにメールアドレスやログインの仕方を変えられるようにしたい。
きっかけはそれだけの、小さな機能のつもりでした。
でも、自分で実際に使ってみると、引っかかる場所がいくつも出てきました。
ボタンを押したのに、どのアカウントにつながるのか選べない。
パスワードを設定したのに、画面には「追加」と出たまま。
「連携」という言葉が、別の意味で二回出てきて紛らわしい。
不思議なもので、頭の中で設計しているときには見えなかったものが、自分の指で触ったとたんに見えてきます。
「ここ、変だな」と思うたびに、それがそのまま直すべき場所になっていきました。
分かりにくいのは、使う人の理解が足りないからではないんだな、と思いました。
たいていは、作りのほうがまだ整っていないだけなんです。

一個ずつしか、進めない
正直に言うと、途中で何度も詰まりました。
使っているパソコンは古くて、検証の途中で画面が真っ白になることがあります。
古いメールのリンクは、もう期限が切れています。
短い時間に何度も試すと、メールの送信回数に制限がかかって止まります。
そのたびに、これは壊れているのか、それとも別の理由なのか、ひとつずつ確かめました。
分からないところは聞いて、教えてもらって、少しずつ理解していきました。
途中で、自分でも何をしているのか分からなくなった瞬間もありました。
あれもこれもと触りすぎて、もともと何をしたかったのかを見失いかけたんです。
そういうときは、一回立ち止まるようにしています。
私がやりたかったのは何だったか。
そこに戻すと、不思議とまた道が見えてきました。

最後に出た、三文字
最後の最後に、設定画面に「パスワード: 設定済み」という小さな文字が出るようにしました。
それまでは、自分にパスワードが設定されているのかどうか、画面のどこを見ても分かりませんでした。
仕組みの都合で、それを表に出すには少し工夫が要ったのですが、誰かが作ってくれた土台の上で、なんとか形にできました。
緑色の三文字が出たとき、ああ、ようやくつながった、と思いました。
メールアドレスを変えて、パスワードを足して、ログインの仕方を切り替えて、また元に戻せる。
バラバラに作ってきたものが、一本の線で動いたんです。
底のない穴に落ちたみたいだと思っていたのに、一個ずつ越えていったら、いつのまにか向こう側に出ていました。
完璧じゃなくてもいいのかもしれません。
詰まっても、止まらなければ、形にはなる。
今回もそうでした。
明日もきっと、どこかで「あれ、これ変だな」とつまずくのだと思います。
それでも、ひとつずつなら越えていける。
そんなふうに思った夜でした。

