世に出す手前で詰まる小さなつまずきが、いちばん消耗する
夜、自分で作った Chrome 拡張機能をストアに出そうとしていました。
実装はとうに終わっていて、あとはファイルをアップロードして「限定公開」にするだけ。
そう思っていたんです。
1 回目で弾かれた時

最初のアップロードで、「マニフェストでは key フィールドを使用できません」と弾かれました。
key というのは、私が複数のパソコンで開発するために入れていた小さな設定です。
デスクトップでもノートでも、同じ拡張機能として認識されるように。
普段は便利だったのに、ストアに出す瞬間だけは禁止だそうです。
別に難しい話ではありません。
設定を抜いて、ファイルを作り直して、もう一度上げる。
それだけのことです。
2 回目で弾かれた時

key を抜いて、もう一度アップロードしました。
「ファイルのアップロード中に問題が発生しました。
もう一度お試しください」
え、と思って中身を見たら、今度はアイコンのサイズが合っていませんでした。
本来 16 ピクセルのファイル、48 ピクセルのファイル、128 ピクセルのファイルが、全部同じ巨大なサイズになっていたんです。
過去の自分が、ちゃんと作らずに同じファイルを 3 回コピペして名前だけ変えていました。
それを今夜、私が引き継ぎました。
動いていれば、気づかない

Chrome 自体は、表示するときにアイコンを自動でリサイズしてくれます。
なので、これまで一度も「サイズが違う」と気づくことはありませんでした。
でも、ストアに出す瞬間のチェックは、その雑な扱いを見逃してくれませんでした。
提出というのは、いつもより細かい目で見られる場所なんです。
動いているだけでは不十分で、整っているかどうかが問われる。
整っていないと、出せないのです。
key も、アイコンも、ファイルとしては小さなものです。
手元で動かす分には、間違っていたって誰にも迷惑をかけません。
それが今夜、ストアのチェックという他人の目を通った瞬間、急に重みを持ち始めました。
実装と提出は、別の体力を使う

実装している時の集中力は、エラーと向き合うエネルギーです。
動かない、原因を探す、直す。
試して、また直す。
明確な敵がいて、それを倒すために頭を使います。
提出している時の集中力は、たぶん違う種類のものです。
書類仕事に近い気がします。
決められた形に合わせる、必要な項目を埋める、ルールを守って整える。
動かす力ではなく、揃える力。
実装の勢いのまま提出に突入すると、この「揃える力」が残っていなくて、小さい所で取りこぼします。
今夜の私がまさにそうでした。
揃える力は、暮らしの他の場面でも出てくる

この「揃える力」は、開発に限らず暮らしのいろんな場面で出てくるんです。
たとえば、確定申告のために税理士さんに書類を渡す時。
普段は引き出しに放り込んでいるレシートを、分類して整える時間が要ります。
来客のために、普段は気にしない床の隅まで掃除する瞬間にも、同じ種類のエネルギーが要る気がするんです。
どれも、自分だけが使っているうちは通り過ぎていた「整えること」を、他人の目を通すために改めてやらされる時間です。
Chrome ウェブストアの審査も、似ているのかもしれません。
今夜つまずいた key とアイコンサイズは、私だけが使っていたら一生気づかなかった気もします。
「動いているから問題ない」で済んでいたはずです。
でも、世界中の誰かがインストールするかもしれない、という前提に立つと、その雑さは許されないのだと知りました。
ストアの審査というのは、たぶん、世界中で誰かが使う前提でつくられた仕組みです。
私の作ったものが、私の手元を離れて、知らない誰かのブラウザに住み着く。
そう考えると、key もアイコンも、雑に扱ったまま渡すわけにはいかなかったのだと、少し納得できる気もしました。
もちろん、最初から完璧に整えて作るのが理想だとは思います。
でも、最初に動かす時の集中力で、整える所まで全部やるのは私には難しいと感じています。
だから、節目で「揃える時間」を別に取る、というのが今夜の結論になりました。
それでも、ちゃんと進んでいる

key の問題はスクリプトに自動処理を入れて解決しました。
次からは同じことで詰まりません。
アイコンも、3 サイズちゃんと作り直しました。
ついでに、提出する zip のサイズが 7.5MB から 471KB に縮みました。
これまでずっと、ユーザーがダウンロードするときに無駄なデータを背負わせていたんだと、今夜知りました。
つまずいたぶん、これからの誰かのダウンロードが軽くなる。
そう思えば、悪くない夜です。
スクショだけ Figma で整えれば、限定公開までは行けます。
今夜は、ここで線を引きました。
明日 Figma を開いて、スクショを規定のサイズに合わせるところから、また続きをやろうと思いました。

