新しく作らない、というやさしさ
自分で作ったブックマーク管理アプリに、600件以上のカードの画像をあとから補う作業をしていました。
Claudeに頼んだら、3つの案が返ってきました。
一番上の推しは「設定画面に新しいボタンを置く」でした。
わたしは、なんとなく気になって聞きました。
これって、1回でいいのであれば、設定にわざわざ追加する必要があるのかなって思うんだけど
Claudeの答えは、「そうですね、判断ミスでした」というものでした。
新しいボタンを置く前に、「これ必要?」と聞いた

1回で終わる処理のために、新しいボタンを画面のどこかに置く。
そのときは便利に見えても、処理が終わったあと、そのボタンは誰にも押されないまま画面に残り続けることになります。
それは、あとで片付けなきゃいけない置き場所を自分で作ってしまう、ということでもあるのかもしれないなと思いました。
結局、既にあったしくみ——ログインしたときに裏で静かに走る処理の列——にひとつだけ足してもらうことにしました。
新しい場所を作らずに、元からあるところに乗っかる。
このほうが、なんだかやさしい設計だなと感じました。
既存の処理列に、ひとつだけ乗せてもらった

裏でデータが動いている間、画面には何も表示されませんでした。
わたしは、動いているのか止まっているのか分からなくて、何度か手動の同期ボタンを押してしまいました。
そのことを伝えたら、今度は画面の右上に進捗を出す案が返ってきました。
けれどまた、ちょっと気になって聞きました。
トーストで出るんじゃなくて、サイドバーの同期ボタンに出すようにするのは?
「同期」という言葉の帰属先は、もとから同期ボタンのはずでした。
それなのに、新しい通知の場所を画面のどこかに追加しようとしていました。
既にあるもので、ちゃんと足りているのかもしれない。
そう気づかせてくれたのは、違和感のほうでした。
「同期」は、同期ボタンに統合する

次の修正版を見たら、処理中はその同期ボタンが押せない状態になっていました。
同期ボタンをちゃんと同期ボタンとして存在させる
そう伝えました。
ボタンが機能しなくなったら、それはもう同期ボタンではなくなってしまいます。
表示だけを差し替えて、クリックは今まで通り受け付ける——そんな形になりました。
この数時間で、最初の提案は3回ひっくり返っていました。
どの指摘も、わたしが技術に詳しかったから出てきた言葉ではありません。
ただ、「なんか変」という違和感をそのまま言葉にしただけでした。
言葉にさえすれば、設計は変わる。
わたしが読めないコードの奥で、ちゃんと別のかたちに組み直してもらえる。
新しく作る、って、作る側にとってはいちばん楽な選択です。
まっさらなところに好きなように描ける。
既存の仕組みを読まなくていい。
でも、そうやって増やしたものは、誰かが片付けないといけない日が来るのかもしれません。
増やすより、載せる

これからは、「新しく作る」と思った瞬間に、ひと呼吸おいて、既にあるものに載せられないか考えてみようと思いました。
暮らしのなかでもきっと、同じだろうなと思います。
新しい棚を買う前に、今ある棚が使えないか。
新しいアプリを入れる前に、今あるアプリで足りないか。
新しい予定を足す前に、今ある時間のどこかに入らないか。
増やすよりも、載せる。
それは、未来の自分に対するやさしさでもあるのかもしれません。

