一度も動いたことがない仕組みと暮らしていた
夜中、自分のアプリの点検の続きをしていました。
昨日、AIと一緒にアプリ全体を見直して「バラバラに見えた不具合は、同じ根っこから生えていた」と分かった話を書きました。
今日はその根っこのうち、いちばん深刻だった場所を直す日でした。
深刻だった場所というのは、通報の仕組みです。
私のアプリには、よくないコメントを見つけた人が知らせてくれるための通報ボタンがあります。
通報が届いたら、私が管理画面から「非表示」や「削除」を押して対処する。
そういう設計で、そういう画面も、ちゃんとあります。
ところが調べてみると、この流れが最初から最後まで、どの段も動いていませんでした。
非表示を押しても、みんなが見るページでは表示されたまま。
削除は、権限の設定が抜けていて誰にも実行できない。
対処の記録を残す仕組みは、作った日から一度も記録に成功したことがない。
それなのに管理画面では、押すたびに「成功しました」と出ていたんです。
「機能がある」と「機能が動いたことがある」は、別のことでした。
毎日通る道と、たまにしか通らない道

不思議なのは、アプリの中心の機能はちゃんと動いていることです。
投稿する、コメントする、応援する。
毎日誰かが通る道は、壊れたらすぐ分かります。
誰かが困って、私が気づいて、直す。
そうやって何度も踏まれて、固くなっていく。
でも通報のような道は、めったに誰も通りません。
幸い、通報が必要になるような出来事はまだほとんど起きていない規模です。
だから壊れていても誰も困らなくて、誰も困らないから、誰も気づかない。
たまにしか通らない道ほど、壊れたまま静かにそこにある。
今回のことで、それを実感しました。
「つもり」の安心

一番こたえたのは、私自身がずっと安心していたことです。
「うちには通報機能があるから、何かあっても対処できる」と思っていました。
その安心は、機能を作った日の記憶に寄りかかっていただけで、動くところを一度も見ていなかった。
作った時の記憶は、当てになりません。
作ってから時間が経つあいだに、まわりの仕組みは少しずつ変わっていきます。
土台のルールが変わり、新しい機能が足され、古い場所だけが取り残される。
作った日には正しかったものが、今日も正しいとは限らないんです。
夜のうちに、AIと一緒に穴をふさぎました。
ひとつ直すたびに、本当にふさがったかを数字で確かめながら。
それでも最後のひとつだけは「実際に通報して、対処されて、消えるところ」を自分の目で見るまで、確認済みとは言わないことにしました。
成功しましたという表示を信じすぎたのが、そもそもの始まりだったので。
これからどうするか

これからは、たまにしか通らない道を、たまにでいいから自分で歩いてみようと思います。
通報して、対処して、消えるところまで。
問い合わせて、返事が届くところまで。
道の入り口だけ眺めて安心するのではなくて、出口まで通ってみる。
「ある」ことと「動く」ことの間の距離を、もう忘れないでいたいです。

