断るボタンに、自分で迷った日
自分の作っているアプリに、相談予約を「受ける」か「断る」かを選ぶ画面があります。
今日はその2つのボタンを並べていました。
「承認する」と「今回は見送る」。
自分で並べたのに、どっちが受けるボタンで、どっちが断るボタンか、一瞬わからなくなりました。
✦ 作った本人が迷うなら

おかしな話です。
設計したのは自分なのに、自分で迷う。
でも、これはいいサインだと思いました。
作った本人が迷うなら、初めて使う人はもっと迷う。
私の「あれ?」は、使う人の「あれ?」を先に見せてくれただけです。
「今回は見送る」という言葉を選んだのには、理由がありました。
「却下」だと強すぎる気がして、角の立たない言い方にしたかったのです。
でも、やわらかくしようとして、かえって何のボタンかぼやけてしまった。
やさしさと、わかりやすさが、ぶつかっていました。
迷った末に、「お断りする」に変えました。
ていねいだけど、何をするボタンかははっきりわかる。
受けるなら「承認する」、断るなら「お断りする」。
やっと、ひと目で読めるようになりました。
✦ 断るときに、理由を添えられるか

ボタンの言葉が落ち着いたら、次に気になったのは、断る理由のことでした。
人にお願いを断られるとき、ひと言でも理由があると、ずいぶん受け取り方が変わります。
だから、お断りするときに、よかったら理由を書ける欄をつけました。
書かなくてもいい。
でも、書けば相手に届く。
ここで一度、立ち止まりました。
書いた理由は、そのまま相手に届くのです。
メモのつもりで書いたものが、知らないうちに相手の画面に出てしまったら、それは怖い。
だから「ここに書いた理由は、そのまま相手に届きます」と、書く場所のすぐそばに添えました。
断るという行為は、ただ「ノー」を伝えることではないのだなと思いました。
どう伝えるか、相手に何が見えるか、そこまで含めて「断り方」なのだと。
✦ やさしさは、設計できる

断られるのは、誰でも少しさみしい。
だからこそ、断る側の画面を、ていねいに作りたいと思いました。
きつい言葉を、やわらかい言葉に。
理由を添えられるように。
その理由が相手に届くと、ちゃんと先に知らせる。
ひとつずつは小さなことです。
でも、こういう小さなところに、そのサービスが人をどう扱うかが出る気がします。
自分が迷ったから、直せた。
使う人の戸惑いを、自分の戸惑いとして先に味わえたのは、作る人としてはむしろ運がよかったのだと思います。
断るのは、これからも気持ちのいいものではありません。
それでも、断り方くらいは、やさしく整えておきたいと思いました。

