生き方・わたしの選択

「全部やりたい」を、順番に分ける

Kanae

petapeta というアプリを作っています。
気になったリンクを付箋みたいにペタッと貼って整理する、ブックマーク管理アプリです。
Chrome の拡張機能とウェブアプリの両方で動きます。

今日は、その拡張機能を Chrome ウェブストアに出すための準備をしていました。

朝から、UI の文字を日本語と英語の両方に対応させる作業をして、画面の細かい不具合を直して、夜にはアイコン用の画像を AI に作らせていました。

その途中で、自分の頭の中がずっと「全部やりたい」になっていることに気づいたんです。

入口の人と、すでに使っている人は別の人

きっかけは、Claude に「これを使いたい、と思ってもらうにはどう打ち出せばいいかな」と聞いた時のことです。

私の中では、「魅力的に伝える」を一個の問題として考えていました。

でも返ってきた答えを読んで、はっとしました。

「無料で触ってもらう」と「有料に切り替えてもらう」は、設計の軸が違うものだ、というのです。

入口の人は、まだ petapeta を知らない人。
試したこともない人。
その人にとって響くのは「これ便利そう、触ってみたい」という直感。
Pro の価格や上限の話は、興味すら持っていないので、早すぎる情報なのです。

一方、すでに毎日使っている人は、ブクマを 100 件保存して、コレクションを 3 つ作って、「あと少しで上限」になっている人。
その人にとって響くのは「もう手放せない」「制限が痛い」という体感。

同じ言葉で、両方の人を捕まえることはできない

私はずっと、ひとつの完璧なキャッチコピーで全部解決しようとしていました。
それが思い込みだった、と気づいた瞬間でした。

段階に分けると、考えることが軽くなる

整理してみると、私のアプリは 3 つの段階に分かれていました。

第 1 段階は今で、招待した知り合いだけが使える限定公開。
実際の使い心地を確かめている期間です。

第 2 段階が一般公開で、まず無料で広く触ってもらう期間。
ここで響かせるべきは「触ってみたい」の入口の言葉。

第 3 段階で、Pro プランを開始します。
ここで響かせるべきは「もう手放せない」の依存度の言葉。

それぞれで響くものが違うなら、それぞれで別の言葉を用意すればいい。

そう書き出すと、今すぐ考えるべきは第 2 段階の入口の言葉だけ、と分かります。
第 3 段階の Pro の魅力は、誰かが実際に毎日使い込んでから出てくる感覚なので、今頭で考えても焼き直しにしかなりません。

「全部やりたい」が、「いま考えるべきことだけ」に絞れた瞬間に、ずっと頭の中で押しくらまんじゅうしていたものが、すっと整列しました。

暮らしでも、同じことをよくやっています

書いていて気づいたのですが、これは仕事だけの話ではないなと思いました。

子どもの中学入学準備をしていた時のことを思い出します。
新しい制服も、教科書も、文房具も、家庭学習の習慣も、お弁当作りのリズムも、全部「入学までに整えたい」と思っていました。

でも実際には、入学までに必要なのは制服と教科書と文房具まで。
お弁当の段取りは入学してから 1 週間考えても間に合いますし、家庭学習の習慣は最初の中間テストまで様子を見てからでも遅くありません。

「全部やりたい」を「今やるべきこと」と「後でやればいいこと」に分けると、頭の中の押しくらまんじゅうが解けます。

整理整頓もそうです。
家中を一気にやろうとすると挫折します。
今日はキッチンだけ、明日は本棚だけ、と段階を切ると、ひとつひとつは丁寧にやれます。

「広く配る」と「特別な席に招く」は別の渡し方

価格の話の延長で、もうひとつ気づいたことがありました。

これから、私の文章を読んでくれる人ができたとき、その人たちには petapeta を特別な形で渡せたらいいな、と思ったのです。

応援してくれている人に、私が作ったものを贈る。
これって、ストアで配布するのとは違う、もう少しやわらかい価値の渡し方だなと思いました。

ストアで一般公開して、たくさんの人に「無料で使えますよ」と差し出す。
それは広く浅く配ること。

応援してくれている人に「あなたには特別な席を用意しました」と差し出す。
それは狭く深く贈ること。

差し出すものの中身は同じなのに、相手によって意味が違ってきます。

これも、入口と継続の話と似ています。
同じ言葉で全員に届けようとせず、相手に応じて差し出し方を変える。
そうすると、受け取る人にとっての価値も変わってきます。

一日を振り返って

今日一日、私がやっていたのは「拡張機能の英語化」という地味な作業でした。

UI の文字をひとつひとつ抜き出して、英訳をつけて、コードを書き換える。
終わってみれば 70 個ほどの文字列を処理しただけ。

でも、その作業の途中で、自分のアプリの全体像が見えて、価格設計の段階が整理されて、応援してくれる人への贈り物という発想が生まれました。

「整える時間」と「進める時間」は、対立しないんだなと、また思いました。

整える作業をしている間に、思考が並んで、次に何をするかが見える。
たぶん、整えることそのものより、整えている間に何を考えていたかの方が、後から大事になる気がします。

明日はアイコンを差し替えて、スクリーンショットを撮ります。
それも、整える作業のひとつです。

ABOUT ME
かなえ
かなえ
個人開発を応援する非エンジニア
婚約破棄をきっかけに、29歳で未婚の母になると決めました。
不安と向き合いながら、10年かけて働き方を少しずつ作り変えてきた40代です。

AppSheetやGASを独学で覚え、いまはAIを使った個人開発を毎日続けています。
個人開発を応援する非エンジニアとして、等身大の試行錯誤や、子育て・自立・副業のことを、正直に記録しています。
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