便利にしたいのか、仕組みを作りたいのか
仕組みが一つ動くと、次が欲しくなります。
YouTubeの音声生成を自動化したとき、すぐに「台本も自動で作れないかな」と考え始めました。
スプレッドシートにテーマを書くだけで、毎朝自動で台本が生成されて、音声になって、ドライブに届く。
そんな完璧なパイプラインを夢見ていました。
半日かけて調べました。
Claude Coworkのスケジュール機能、Article Factoryの仕組み、MCPサーバーの比較。
調べれば調べるほど、構成が複雑になっていきました。
ふと気づいたんです。わたしは「便利にしたい」んじゃなくて、「仕組みを作りたい」だけになっていたかもしれないって。
「便利にしたい」と「仕組みを作りたい」の違いに気づいた

週に1〜2本の動画を作るのに、毎朝自動実行するパイプラインは要りません。
台本はわたしの体験がベースだから、全自動にしたら、わたしの声が消えてしまいます。
本当に必要だったのは、たった一つの接続でした。
Claude CodeからGoogle Driveにファイルを保存できるようにする。
それだけ。
5分で終わりました。
これで「こういう体験を動画にしたい」と伝えるだけで、Claude Codeがわたしの開発記録を読んで、台本を作って、ドライブに保存してくれます。
あとはn8nが自動で音声にしてくれる。
壮大な自動化の計画は、全部棚上げにしました。
動画が10本、20本と増えて、「さすがにこれ毎回やるのしんどい」と感じたとき。
そのときに自動化すればいいんです。
効率化って、不便を感じる前にやると、ただの趣味になります。
不便を感じてからやると、本当の改善になります。
今のわたしには、シンプルな仕組みで十分です。
まずは1本目の動画を作ることのほうが、ずっと大事ですから。
同じ日に、考えが変わった

……と書いたその日に、考えが変わりました。
テストのつもりでClaude CodeからGoogleドライブにドキュメントを作ってみたんです。
テキストを書き込んで、削除して。
全部ちゃんと動きました。
動いた瞬間、見え方が変わりました。
スプレッドシートで台本の進捗を管理できる。
スライドも自動で作れる。
タスクも、自分で作ったポータルサイトのTodoに登録できる。
壮大なパイプラインを組もうとして「まだ早い」と引き返したはずなのに、今あるもの同士を繋ぐだけで、ほとんど同じことができると気づいてしまいました。
新しいツールは要りませんでした。
GCPでAPIを2つ有効にして、自分のポータルに数行コードを足すだけ。
「シンプルに始めよう」と言いながら、気づいたら4つのIssueを立てていました。
でも、これは以前の「沼」とは違います。
あのときは「仕組みを作りたい」が先でした。
今回は「これとこれを繋げばいいだけじゃん」という発見が先にあって、必要なものが見えてから動いています。
同じ自動化でも、出発点が違うだけで、まったく別のものになります。
足りないと思っていたものが、実はもう手の中にあった。
それに気づけたのは、一度立ち止まったからかもしれません。
繋ぐだけは甘かった、でも「あ、そういうことか」で済む

繋げばいいだけ、なんて甘かったです。
自分のポータルにコードを数行足して、デプロイして、リクエストを送ったら弾かれました。
設定を変えたらまた弾かれました。
別の設定を変えたら今度は通ったけど文字化け。
3回、壁にぶつかりました。
でも、どれも「あ、そういうことか」で済むものでした。
調べて、直して、試す。
それだけ。
最後にMyPortalのTodoリストにタスクが追加されたとき、思わずスクリーンショットを撮りました。
ターミナルに「タスク追加して」と打っただけで、自分が作ったポータルに反映される。
派手なことは何もしていません。
十数行のコードを足しただけです。
でも、自分が去年から少しずつ作ってきたもの同士が繋がった瞬間って、新しいツールを導入したときとは全然違う嬉しさがありました。
「これ、全部わたしが作ったんだ」
MyPortalも、音声パイプラインも、Claude Codeの設定も。
一つひとつは小さいけど、繋がると思っていなかったものが繋がると、急に景色が変わります。
効率化の話をしていたはずなのに、気づいたら「自分が作ったものへの愛着」の話になっていました。
たぶん、それでいいんだと思います。
効率のためだけに作っていたら、壁が3つも出てきた時点で「やっぱりやめよう」となっていたかもしれません。
自分のポータルが好きだから、もっと便利にしたかった。
それだけのことでした。
深夜2時、繋がった

深夜、1本目の動画の通しテストをしました。
テーマを伝えて、台本を作って、スライドを作って、タスクを登録して、音声を生成して、Googleドライブにアップロード。
全部が自動で繋がるかどうかの、最初のテストです。
途中で止まりました。
音声が生成されない。
ログを見たら「成功」と出ているのに、肝心の音声ファイルがない。
原因は、タイミングでした。
ドキュメントが作られた瞬間に、別のプログラムが「新しいファイルだ」と駆けつけてダウンロードしてしまう。
でもその時点では、まだ中身が書き込まれていない。
空のファイルを持って帰ってしまう。
「30秒待ってからダウンロードする」という一行を足しただけで、動きました。
深夜2時、41個の音声ファイルが全部生成されて、1つに連結されて、Googleドライブに自動でアップロードされました。
ちゃんと動くかわからないまま始めて、壁にぶつかって、直して、また動かす。
それを繰り返しているうちに、気づいたら全部繋がっていました。
「シンプルに始めよう」と言いながら、結局全部作ってしまいました。
でも、最初から全部作ろうとしたわけではありません。
一つ動くと次が見えて、次が動くとまた次が見えて。
そうやって、一歩ずつ進んだら、ここまで来ていました。
たぶん、何かを作るってそういうことなのかもしれません。
完成図を描いてから始めるんじゃなくて、目の前の一歩を踏み出したら、次の一歩が見えてくる。
深夜2時のGoogleドライブに「L01 narration.wav」というファイルが現れたとき、思ったのは「できた」じゃなくて「繋がった」でした。
放置していたツールが、半年後に役に立つ

音声ができて、ほっとしたのもつかの間。
スライドが気になり始めました。
自動で作れるスライドは、白い背景にテキストだけ。
動画に使うにはちょっと寂しい。
「そういえば、前に買ったツールがあったな」
GASのスライド自動生成ツール。
メンバーシップで購入して、一度試して、そのまま放置していたものです。
中を開いてみたら、想像以上に本格的でした。
背景色もフォントもレイアウトも、全部JSON一つで指定できる。
数時間で外部APIとして使えるようにしました。
テストで3枚のスライドを生成したら、自分のブランドカラーで仕上がっていました。
まだ完璧ではありません。
文字が小さかったり、色のバランスが悪かったり。
でも「JSONを送るだけでデザイン付きスライドが返ってくる」という土台ができました。
音声も、スライドも、タスク登録も。
ぜんぶ、以前の自分が作ったものや買ったものの中にピースがありました。
新しいものを探しに行くより、手持ちのカードを見直す。
今日一日で何度も感じたことです。
持っているものの価値は、必要になったときに初めてわかるのかもしれません。
去年購入して放置していたツールが、半年後にパイプラインの重要な一部になる。
そういうことが、実際に起きました。
「いつか使うかも」で買ったものが本当に役に立つ日は、思ったより早くやってきます。

