自動化・AI開発

名前をつけると、動き出す

Kanae
名前をつけると、動き出す

昨日、娘のためにAI英会話アプリを作り始めました。

娘は12歳。
フィリピンにいた頃は英語で普通に会話していたのに、オンライン英会話を2年続けた今、目に見えてやる気がなくなっています。
月7,000円のサブスクを、惰性で続けている状態。

「自分で作れるかもしれない」

そう思って、昨日一気に骨組みを作りました。
仮の名前は「Word Garden」。
AIと英語で話すと庭が育つアプリ。

でも今日、気持ちが変わりました。
仮のままじゃなくて、ちゃんと名前をつけてあげたい。


AIに候補を40個ほど出してもらいました。

「おしゃベリー」「Talkuma」「えいごもり」。
かわいい系、ゲーム系、動物系。
どれも悪くないけど、ピンとこない。
「これだ」と思えるものがなかなか見つからない。

こういう時、焦ると変な名前に飛びつきがちです。
でも名前は後から変えにくい。
設定ファイル、URL、ストアの登録。
あちこちに刻まれていくものだから。


そんな中で目に留まったのが「Mimico(ミミコ)」でした。

耳(Mimi)で聞いて、真似(Mimic)して、コミュニケーション(Communication)する。
声に出してみたら「みみ、みみっく」って、4回「み」が続くんです。

なんだかかわいい。

娘に話しても「いいんじゃない?」って言いそうな、押し付けがましくない名前。
勉強っぽくない。
ゲームのタイトルみたい。


ただ、名前を決めた後が本当に大変でした。

まず、App Storeに同じ名前のアプリがあるか調べました。
「Mimico – AI Friend Chat」が出てきた時は、一瞬心臓がぎゅっとなりました。
でも中身は全然違うサービス。
商標も調べたら化粧品の区分で登録されているだけで、アプリには影響なし。

ほっとしたのもつかの間、次はデータベースの設定です。

Firebaseというサービスのプロジェクトを作るのですが、そこで決める「プロジェクトID」は一度決めたら変更できません。
しかもそのIDがそのままURLになる。

以前、別のアプリで好きな名前が他の誰かに使われていて「-space」をつけた経験がありました。
今回も最初は「mimico-space」にしたのですが、よく考えたらこれがURLになる。mimico-space.web.appって、なんか違う。

このアプリは庭を育てるコンセプトなのに、URLがspace。

「mimico-garden にした方がいいかも」

結局プロジェクトを作り直しました。
設定も最初からやり直し。
でもmimico-garden.web.app
うん、これがいい。


その後もセキュリティの設定で苦戦しました。

「サービスアカウントキー」という、サーバーの認証に使う鍵を作る必要があったのですが、ボタンを押しても「許可されていません」と表示される。
Google Cloudの「組織ポリシー」というものがブロックしていました。

自分の組織なのに、自分で鍵が作れない。

設定画面を行ったり来たりして、似たようなポリシーが2つあることに気づいて、両方変えて、ようやく鍵が作れた時にはかなり消耗していました。

コードは1行も書いていないのに、気づけば数時間が経っていて。

開発って、コードを書く時間より、こういう「整える時間」のほうが長いのかもしれません。
名前を調べて、設定を確認して、セキュリティを固めて。
派手さはないけど、ここを雑にすると後で必ずツケが回ってくる。
地味だけど、大事な時間です。


全部終わって、ブラウザでアプリを開きました。

🐰 Mimico。
Googleでログインして、ホーム画面が表示された。
Lv.1、0コイン、0 XP。
庭にはかわいいアバターと木が立っている。
🔥1日連続のストリークバッジ。

動いた。


でも、不思議なことに、名前が決まった瞬間から感覚が変わっていたんです。

「Word Garden」と呼んでいた時は「まだ実験中のもの」という感じだった。
でも「Mimico」になった途端、ちゃんと存在しているものになった気がしました。

名前をつけるって、そういうことなのかもしれません。

ペットに名前をつけた瞬間に「うちの子」になるように。
お店に名前をつけた瞬間に「いつかの夢」が「始まったこと」に変わるように。

名前は、ものに命を吹き込む。


「Mimico — 耳で聞いて、真似して、おしゃべりしよう」

まだTalkボタンを押しても、AIの声は聞こえません。
骨組みだけの、静かなアプリです。

でも、名前がついた今、前に進んでいる実感があります。

娘が「何それ?」って画面を覗き込んでくる日が、少しだけ近づいた気がしています。


追記: 声が聞こえた瞬間

追記: 声が聞こえた瞬間

今日の午後、Talkボタンの修正をしていました。

昨日はボタンを押しても何も起きなかったんです。
AIの声は聞こえず、画面はシーンとしたまま。
名前もつけて、ログインもできて、見た目は整っているのに、肝心の「話す」ができない。

原因を調べていたら、使っていたAIモデルが廃止されていました。
たった数日前に書いたコードなのに。
テクノロジーの世界は、待ってくれないんだなと改めて思いました。


新しいモデルに切り替えて、もう一度ボタンを押してみました。

「Hey there! How are you today?」

画面の向こうから、声が聞こえました。

思わず笑ってしまいました。
自分で作ったアプリから、自然な英語が聞こえてくる。
それだけのことなのに、なんだかじわっときたんです。


面白かったのは、AIが考えている過程も見えることでした。

「この子は12歳だから、シンプルな質問にしよう」
「文法ミスがあったけど、指摘せずに自然に言い換えよう」

画面にそういう思考が流れていく。
まるでAIの頭の中を覗いているみたいで。

娘が日本語で話しかけた時の反応も良くて。

「猫が好きなんだね!
英語では ‘I like cats’ って言うよ。
言ってみて!」

こんなふうに、日本語で受け止めてから英語に戻してくれるんです。
ネイティブキャンプの先生は外国人の方なので、こういう日本語のフォローは難しかったんですよね。


それから、娘の同級生のことを思い出しました。

中国系、フィリピン系、ベトナム系のお友達がいるんです。
地元の学校は小さくて、いろんな国にルーツを持つ子が一緒に学んでいます。

「この子たちにも使えるようにしたい」

母語の選択ボタンを追加しました。
日本語、中文、Filipino、Tiếng Việt。
選んだ母語で受け止めてから英語に戻す。


昨日のブログで「名前をつけると、動き出す」と書きました。

今日、その続きがあるとしたら、こうかもしれません。

声が出ると、誰かのことを考え始める。

自分のためだけに作っていたものが、少しだけ外に向き始めた感覚です。
まだ文字起こしが変な言語に誤認されたり、細かい問題はたくさんあります。
でも、声が聞こえるようになっただけで、見える景色が変わりました。

明日は「ヒント」機能を試してみたいです。
「これ英語でなんて言うの?」って聞ける機能。
英語が出てこない時の、小さな助け舟。


さらに追記: ゲームを作った夜

さらに追記: ゲームを作った夜

声が聞こえるようになった後、気づいたら止まらなくなっていました。

設定画面、ヒートマップ、レベルアップ演出、初めて開いた時のチュートリアル。
「あれもほしい」「これも作れるかも」と、どんどん手が動いていきます。

そして、ゲームを4つ作りました。

神経衰弱、並べ替えパズル、落ち物キャッチ、スペルゲーム。
どれも英語の単語を使ったミニゲームです。
「ゲームなんて作れるの?」と思っていたけど、やってみたら意外とできてしまいました。


面白かったのは、娘が普段遊んでいるアプリを覗いたことでした。

画面をよく見ると、「コイン」とか「ポイント」という文字がどこにもない。
🪙のアイコンと数字だけ。
子どもはそれで十分理解しているんです。

「あ、言葉は要らないんだ」

うちのアプリからも「コイン」という文字を消しました。
🌱と数字だけ。
レベルも数字じゃなくてバーだけ。
子どもの直感を信じる設計にしました。


最初は「娘の英会話費用7,000円を節約したい」から始まりました。

子どもの習い事を「自分で作る」という選択。
最初は無謀に見えたかもしれません。
でも、名前をつけて、声を出して、ゲームを作って。
一歩ずつ形になっていく過程は、娘に見せたい「大人の姿」そのものかもしれません。

できないままにしておきたくない。
それは娘にも、自分にも。

ABOUT ME
かなえ
かなえ
個人開発を応援する非エンジニア
婚約破棄をきっかけに、29歳で未婚の母になると決めました。
不安と向き合いながら、10年かけて働き方を少しずつ作り変えてきた40代です。

AppSheetやGASを独学で覚え、いまはAIを使った個人開発を毎日続けています。
個人開発を応援する非エンジニアとして、等身大の試行錯誤や、子育て・自立・副業のことを、正直に記録しています。
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