使う人の好きな色に、道具を合わせた日
夜、小さな道具に色を足していました。
このあいだ作った、Substackのライブ配信のコメントを手元に残すための拡張です。
最初はピンク一色で作っていました。
私が好きな色だったので、深く考えずにそうしていたんです。
でも、この道具を使ってほしい人がいて、その人はターコイズブルーが好きでした。
それを思い出して、じゃあ色を選べるようにしよう、と思ったんです。
ターコイズは、水色ではなかった

色を足すことにしたとき、「ターコイズって水色なの?」と聞かれました。
似ているようで、違うんです。
ターコイズは青緑。
青と緑のちょうど中間くらいの色で、いわゆる水色より少し濃くて、緑がかっています。
宝石のトルコ石の、あの色ですね。
説明して、結局ターコイズのままで確定しました。
水色にはしませんでした。
使ってほしい人が好きなのは、あくまでターコイズだったからです。
こういう、どうでもいいようなやり取りが、私はけっこう好きです。
色ひとつでも、ちゃんと分けて考えると、その人の「好き」の輪郭が少しだけ見えてくる気がします。
自分のためだった道具が、誰かのほうを向いた

色を選べるようにする、というのは、機能としてはとても地味です。
動きが変わるわけでもないし、できることが増えるわけでもありません。
ただ、見た目の色が変わるだけ。
でも、「この人はこの色が好きだから」で色を足すのは、思っていたよりずっと楽しかったんです。
自分のためだけに作っていた道具が、誰かの好きな色に合わせて、少し形を変える。
それだけのことなのに、道具が急に、私じゃない誰かのほうを向いた気がしました。
道具って、便利かどうかで語られがちです。
速いとか、たくさん保存できるとか。
でも、誰かの好きな色に合わせるみたいな、実用とは関係ないところに手をかけると、道具と人のあいだに、ちょっとした体温が生まれるのかもしれません。
少しだけ、直したくなった

同じ日に、もうひとつ気になっていたことも直しました。
コメントを残した一覧を見返すと、配信のタイトルは出ているのに、それが誰の配信だったのかが分からなかったんです。
誰のライブか思い出せないまま、タイトルだけが並んでいる。
そこで、誰の配信かを表示できるようにしました。
どうしても分からないものは「不明」と正直に出すことにして、自分で名前を書き直せる余地も残しました。
覚えているなら、自分で書けばいい。
機械に全部おまかせしないで、人が直せる隙間を残しておく。
そのほうが、なんだか安心するんです。
小さな道具に、体温を足すこと

夜が更けて、手元にはピンクでもターコイズでも表示できる、小さな道具がひとつ。
作っているときは、機能を足していくことばかり考えていました。
でも実際にやってみると、「誰のために、どこを少し変えるか」を決めることのほうが、ずっと自分らしさが出るのかもしれない、と思いました。
誰かの好きな色を思い浮かべながら道具を直す時間は、コードを書いているというより、その人のことを少し考えている時間でした。
それくらいの距離感が、今の私にはちょうどよかったのだと思います。

