「見えない設定」を見えるようにするという小さな親切
個人開発をしていると、自分しか触らない画面が増えていきます。
自分にとっては当たり前の操作も、他の人にとっては「何をすればいいのかわからない」になってしまう。
今日は、そんな「見えない」を「見える」に変えた話をします。
スライダーを動かしても、何も起きない

私が作っているブラウザVTuberアプリには、「ドームの深さ」という設定があります。
頭を動かした時の奥行き感を調整するためのスライダーです。
でも、このスライダー、静止した状態で動かしても画面が全く変わらないんです。
実際にカメラの前で首を振らないと効果がわからない。
数値を0.05にしても0.20にしても、止まっている限り見た目は同じ。「この設定、本当に効いてるの?」と思われても仕方のない状態でした。
これって、日常にもよくある話だと思います。
エアコンのリモコンの「体感温度」ボタンとか、洗濯機の「すすぎ回数」の設定とか。
変えたつもりなのに、違いが体感できないもの。
イラストの「アタリ線」にヒントがあった

解決のヒントは、意外なところにありました。
イラストを描く時の「アタリ線」です。
顔を描く時、正面なら十字線は直線ですが、斜めを向いた顔だとカーブした線になります。
このカーブの強さが、まさに「ドームの深さ」と同じ意味だったんです。
ドームの深さが浅ければ直線的に、深ければカーブが強くなる。
それをそのまま画面に表示することにしました。
スライダーを動かすと、アタリ線のカーブがリアルタイムで変わる。
静止していてもプレビューが薄い色で出る。「ああ、この設定でこういう効果が出るのか」と、動かす前にわかるようになりました。
「見える化」は思いやりだと思う

開発者にとっては、数値と挙動の関係が頭に入っています。
でも初めて触る人には、その関係が見えません。
設定画面の数字の横に、ちょっとしたプレビューを置く。
それだけで「わかる」と「わからない」の壁が消えます。
これは開発に限った話ではなくて、日常のコミュニケーションでも同じなのかもしれません。
自分にとっては当たり前のことでも、相手には見えていないことがある。
小さな親切を積み重ねていく

私の作っているアプリは、まだまだこういう「見えない設定」がたくさんあります。
一つひとつ、丁寧に「見える」に変えていく。
派手な新機能を追加するよりも、こういう地道な改善のほうが、使う人にとっては嬉しいのかもしれません。
作る人だけがわかるアプリではなく、使う人にもわかるアプリにしたい。 そう思いながら、今日もスライダーの横にプレビューを足していきます。
「見える化」の効果

スライダーを動かしたら何が変わるのか、見てわかる。
それだけで、使う人の迷いが一つ減ります。
正確さよりも「伝わること」のほうが大事な場面があります。
アプリの設定画面も、数値を正確に表示するより、「この設定を変えるとこう変わりますよ」とプレビューで見せるほうが、ずっと伝わる。
作る人と使う人の間には、いつも「わかっている」と「わかっていない」のギャップがあります。
そのギャップを埋めるのは、難しい説明ではなくて、ちょっとした「見せる工夫」なのだと思います。
小さな「見えるようにする」の積み重ねが、きっと誰かの「使いやすい」につながると信じています。
「暗黙のルール」を見える化する

「暗黙のルール」は、長く関わっている人には体感としてわかっても、新しく来た人にはまったく見えません。
ルールを紙に書いて貼るだけで、安心できる人がいる。
それだけで十分な理由です。

