生き方・わたしの選択

最初に信じてくれた人を、ちゃんと残しておきたい

Kanae

自分のサービスに、これから料金プランを入れようとしていました。
有料プランを作るということは、無料プランの上限も決めるということです。

「ブクマ 300 件まで」「コレクション 5 個まで」、こういうルールをコードに書き込んで、その先は有料、という線引きを設計していきます。

そのとき、ふと立ち止まりました。

線引きの設計で立ち止まった

線引きの設計で立ち止まった

いま、このサービスを使ってくれている人たちは、招待で入ってきてくれた人たちです。
まだ何もないところから「使ってみるよ」と入ってきてくれた、最初の数人。

その人たちが、私が「ブクマ 300 件まで」のルールを入れた瞬間に、その制限の対象に変わってしまうのは、なんだか違う気がしました。

最初に信じてくれた人だけは、ずっと変わらず使えるようにしたい。
そう思いました。

約束を、コードに残しておきたかった

約束を、コードに残しておきたかった

仕組みとしては、ユーザーごとに「あなたは早期サポーター枠です、ずっと無制限です」と覚えておくフィールドを足すだけです。
技術的にはそんなに難しい話ではない。

でも、入れるタイミングが大事だと、書きながら気づきました。

人が増えてから入れると、データの引っ越しが大変になります。
何十人、何百人と増えてから「あ、最初の人をちゃんと識別しないと」と気づいて、後から名簿を作り直すのは、技術的にも、気持ち的にも、かなり遅い。

少ない今のうちにやる。
これは、サービス設計の話というより、約束の話に近い気がしました。

私自身も、誰かのサービスを早い時期から使い始めたことがあります。
まだ機能が少なくて、UI も荒削りで、たまに動かなくなる時期。

そういう時期に使っていた人が、サービスが大きくなった後で「あなたは最初からいた人だから、特別枠です」と言ってもらえる仕組みがあったら、たぶんすごく嬉しい。
それは、お金の話ではなくて、ちゃんと覚えていてもらえているという感覚です。

「最初に信じてくれた人を覚えている」というのは、お金で買えないし、後からは作れない。
だからこそ、サービスが小さい今、コードの中にちゃんと刻んでおきたかった。

設計しながら考えていたのは、Phase が進むほど、後から来た人が機能を多く享受する世界になりがちだ、ということでした。

新しい機能、改善された UI、整った決済、増えたサポート。
これらは全部、サービスが成長していくほど後から来た人にとって当たり前になります。

その「当たり前」の中で、最初の人だけが置いてけぼりにならないように、何か残しておきたい。

ピンクのカードに、印を残した

ピンクのカードに、印を残した

実装を進めて、最後に小さなスクリプトを 1 回走らせました。
招待してくれた人たちの名簿に、一斉に「早期サポーター枠」という印を付ける処理です。

ブラウザの画面に、4 件のメールアドレスと「更新しました」という結果が表示されました。
それだけのことなのに、不思議とほっとしました。

これで、私が頭の中で考えていた「ずっと無料」という約束が、コードの中にちゃんと残った。
あとは、その人たちが Phase 2 以降にログインしてくれた時、それが自動で効くだけです。

実装が一通り終わって、自分のアカウントでログインしました。
設定画面を開いて、新しく作った「プラン」というタブを押します。

画面に、「現在のプラン: 早期サポーター枠(恒久無制限)」と表示されました。
利用状況のところには、ブクマの件数と、「上限なし」の文字。

ここまでで、丸 1 日くらい設計と実装を行ったり来たりしていました。
表示される文字列は短いけれど、その裏では、データベースのフィールド設計、サーバー側の関数、クライアント側の取得処理、画面の表示、用語の整理、エッジケースの確認、と地味な仕事が積み重なっています。

それでも、画面に「早期サポーター枠」と表示された瞬間に、自分が一番ほっとしていました。

招待してくれた人たちは、たぶん、設定画面の「プラン」タブをそんなにしょっちゅう開きません。
たまに気が向いて開いて、「早期サポーター枠」というピンクの小さなカードを、ふーんって感じで見て、すぐ閉じる。
それでいいと思っています。

「ちゃんとあなたを覚えてますよ」というメッセージは、コードの中に静かに残っていればよくて、わざわざバナーで知らせる必要はない。
気付かれない方が、たぶん自然です。

自分の「こうありたい」を守るため

自分の「こうありたい」を守るため

書きながら気づいたのは、こういう仕組みを作る時の楽しさは、誰かに見せるためではなくて、自分の中の「こうありたい」を守るためなんだということでした。

サービスが大きくなって、もし忙しくなってきても、最初の人を雑に扱わない自分でいたい。
そのための仕掛けを、まだ余裕のある今のうちにコードで残しておく。
未来の自分への、ちょっとした保険のようなものです。

最初に信じてくれた人を、ちゃんと残しておきたい。
その気持ちを、今日のうちにコードの中に置いておけてよかったと思っています。

ABOUT ME
かなえ
かなえ
個人開発を応援する非エンジニア
婚約破棄をきっかけに、29歳で未婚の母になると決めました。
不安と向き合いながら、10年かけて働き方を少しずつ作り変えてきた40代です。

AppSheetやGASを独学で覚え、いまはAIを使った個人開発を毎日続けています。
個人開発を応援する非エンジニアとして、等身大の試行錯誤や、子育て・自立・副業のことを、正直に記録しています。
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