「使う側」から、ちょっと作る側にずれた日
PNGTuber-Remix というツールを、以前日本語化したことがありました。
海外の個人が作った、1枚絵を動かしてアバターにできるソフトです。
私が日本語版を作りたかったのは、使いながら英語表記で迷いたくなかったから。
その時のバージョンは 1.4.1。
今、別のパソコンで使いたくなって、最新版を入れたら 1.4.5 になっていました。
「前の日本語化データを、今のバージョンに当てるだけじゃないの?」
そう思って始めました。
開発は、待っていてくれない

調べてみたら、本家はこの数ヶ月で大きく進化していました。
変わったファイルは 300個以上。
私が日本語化で触ったファイルも、大半が本家側でも書き換わっていました。
「ここに日本語を足す」ができない。
「前の作業はどこに活きるんだろう」と、少し寂しい気持ちになりました。
でも、同時に、面白いことも分かりました。
本家が、翻訳を受け入れやすい仕組みに変えていたんです。
以前は、コードを書き換えないと日本語化できなかった。
今は、辞書(CSV)に日本語を一列足せば、それだけで日本語が表示されるようになっていました。
私の前の作業の方式は、時代遅れになっていたということでもあります。
でも、本家の側が開かれた作りに変わったのは、いいことなんだと思います。
AIに、辞書づくりを手伝ってもらいました

翻訳する英語は、500件以上ありました。
手で訳すには多すぎる。
Gemini に、「PNGTuber というアバターツールの UI を日本語にして。
Appendage は『揺れパーツ』で、Puppet は『モデル』で……」と用語を渡して、500件を一度に投げました。
数分で日本語が返ってきました。
全部完璧というわけではないので、後でちょこちょこ直すところもあると思います。
でも、「500件を一晩かけて訳す」ではなく、「500件を数分で訳してもらって、気になる所だけ手直しする」という形になりました。
exe を、自分で作れた

別のパソコンで使うために、日本語版を exe ファイルにしました。
Godot というゲームエンジン(このツールを作るのに使われている道具です)には、exe を生成する機能が付いています。
「プロジェクトをエクスポート」というボタンを押すだけ。
130MB のフォルダができて、中の exe をダブルクリックしたら、自分で作った日本語版が起動しました。
ここで、初めて気づいたことがあります。
私、exe ファイルは「誰かが作って配っているもの」だと思っていました。
Chrome の setup.exe も、ゲームの実行ファイルも。
「自分で作るもの」という発想がなかったんです。
Claude Code に、「画面収録ソフトも自分で作れるの?」と聞いてみたら、
「作れます。
ただし、Godot はゲーム向きだから、画面収録は別のツールの方が向いています」と教えてくれました。
そっか、と思いました。
作れる、作れない、の問題じゃなくて、道具を選べば何でも作れる側に立てるんだと。
追いつかなくてもいい。

乗り直せばいい
以前の日本語化の作業は、無駄になったわけじゃありません。
その時の辞書の一部(71件)は今回もそのまま使えました。
当時の経験で、本家の仕組みを見る目が養われていたから、今回の「乗り直し」も判断できたのだと思います。
でも、オープンソースの世界は、動きつづけています。
同じバージョンに留まって「これでいい」と固定してしまうと、本家の進化についていけなくなる。
追いつけなくなったら、諦めるのも一つです。
別の選択肢として、「新しい仕組みに乗り直す」こともできます。
今回は、乗り直しを選びました。
Claude と Gemini に手を借りて、1日で。
ちょっとだけ、立ち位置がずれた

「使う側」から、「作れる側」へ。
大きく移動したわけじゃありません。
でも、ちょっとだけずれた。
プログラマーになったわけでも、エンジニアを名乗れるわけでもないんです。
ただ、「これは作れるもの」「自分で手を入れられるもの」の範囲が、少し広がりました。
明日、何か別のソフトを見た時、
「これも、もし直したいところがあれば直せるかも」と思えるかもしれません。
その視点が持てただけで、今日はよかった。
そう思いました。

