自動化・AI開発

ぜんぶを同じ形に、揃えなくてよかった

Kanae

自分のアプリを一度ぜんぶ見渡す作業を続けています。
今日はその中で、二回とも「全部やってしまいたい」という気持ちに引っ張られて、あえて途中で手を止めた話を書きます。

一つの名前に、二つのものが混ざっていた

一つの名前に、二つのものが混ざっていた

アプリには「この人は管理者か」を見分ける印があります。
これまで、その印を一つの言葉でまとめて呼んでいました。

ところが中を開けてみると、その一つの言葉に、立場の違う二種類の役割が混ざって入っていました。
全体を管理する人と、見張りをする人。
やれることが違うのに、同じ名前で呼んでいたのです。

同じ名前だから、書いた本人であるわたし自身も「これは管理者だけの入り口」と思い込んでいました。
でも実際には、見張り役も通れてしまう入り口でした。
名前が、わたしの理解をだましていたことになります。

直し方は、拍子抜けするほど単純でした。
一つだった名前を、二つに分けただけです。
「管理者だけ」と「管理者か見張り役か」。
それだけで、二十いくつあった入り口が、いっぺんに正しい意味に締まりました。

不思議だったのは、ある場所では、わたしはすでに「管理者だけ」のつもりで書いていたことです。
名前がズレていたせいで、正しく書いたはずのところが、正しく動いていませんでした。
名前を直した瞬間に、そこが本来の形へ戻りました。
コードの間違いというより、呼び方の間違いだったのだと思います。

揃えると、壊れる場所があった

揃えると、壊れる場所があった

同じ日に、もう一つ似た判断がありました。

あちこちに散らばった「住所の書き方」を、一つの正しい形に揃える作業です。
気持ちとしては、見つけた全部を機械的に揃えてしまいたくなります。
揃うと、見た目がすっきりして気持ちがいいからです。

でも一つずつ確かめていくと、揃えると壊れてしまう場所がありました。
ここは触らない、と決めて残したところがいくつもあります。
全部を同じ形にするのが正解ではない場面でした。

たとえば、アプリからお送りするメールの「差出人の住所」にあたる部分は、あえて残しました。
ここは他とは事情が違って、あらかじめ届け出て許可をもらった住所でないと、メール自体が送れなくなってしまうのです。
見た目は他の住所書きとそっくりなので、機械的に揃えていたら、気づかないうちにメールが一通も届かなくなっていたかもしれません。
似ているからといって、同じ道具でいっぺんに直していい、とは限らないのだと思いました。

揃えると壊れる場所と、揃っていないこと自体が問題の場所は、別のものでした。
その二つを見分けるのに、今日はいちばん時間を使った気がします。
手を動かす時間より、どこを触らないかを決める時間のほうが長い一日でした。
見た目がそっくりでも、事情まで同じとは限らない。
それを一つずつ確かめていく地味な時間が、たぶんいちばん大事だったのだと思います。

「たぶん大丈夫」を、数を見てから言う

「たぶん大丈夫」を、数を見てから言う

見張り役も通れていた、と書くと、こわい話に聞こえるかもしれません。
でも、それで本当に困った人がいたのかは、確かめないと分かりません。

実際のデータを見たら、見張り役の人は、今のところ一人もいませんでした。
つまり、この勘違いで誰かが困った場面は、まだ起きていなかったのです。
将来その役割の人を作ったときに初めて問題になるはずだった小さな地雷を、先に抜いておいた、という形でした。

ここでも「たぶん大丈夫でしょう」で済ませず、実際の数を見てから言う、をやれました。
確かめる前の安心と、確かめたあとの安心は、同じ言葉でも重さがちがいます。

減らすより、分けるほうが難しい

減らすより、分けるほうが難しい

ものを減らすのは、どちらかというと得意なつもりでいました。
使っていないものを見つけて手放すのは、判断がはっきりしています。

でも、似ているものを「これとこれは別のものだ」と分けるほうが、たぶん難しいのだと今日思いました。
同じ名前で呼んでいるうちは、違いに気づけません。
開けて、中を見て、初めて二つだったと分かる。

暮らしの中でも、似たことがある気がします。
ひとまとめに「こういうもの」と名前をつけて片づけた箱の中に、本当は性質のちがうものが混ざっていることがあります。
名前をつけると、それ以上は考えなくて済むので、楽なのです。
でもその楽さが、中身を見えなくすることもあります。

人に対しても、たぶん同じことをしてしまいます。
「ああいう人」「こういう立場の人」と一つの言葉でまとめた瞬間に、その中にいる一人ひとりの違いが見えなくなる。
まとめる言葉は便利だけれど、便利なぶん、大ざっぱです。
今日コードでやった「一つの名前を二つに分ける」という作業は、たぶんコードの外でもときどき必要なのだろう、と手を動かしながら思っていました。

急いで名前をつけて箱にしまう前に、一度だけ中を開けて、これとこれは同じものだろうか、と確かめる。
それだけで、あとから困ることがずいぶん減る気がします。

片づけというのは、捨てることだけではないのだな、と思いました。
一つにまとめていたものを二つに分けて、全部のうちいくつかはあえて残す。
増やすでも減らすでもなく、「ここには線がある」と気づいて引き直す。
そういう静かな作業もあるのだと、今日は思いました。

ABOUT ME
かなえ
かなえ
個人開発を応援する非エンジニア
婚約破棄をきっかけに、29歳で未婚の母になると決めました。
不安と向き合いながら、10年かけて働き方を少しずつ作り変えてきた40代です。

AppSheetやGASを独学で覚え、いまはAIを使った個人開発を毎日続けています。
個人開発を応援する非エンジニアとして、等身大の試行錯誤や、子育て・自立・副業のことを、正直に記録しています。
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