婚約破棄された私が勝ち取った『養育費』 〜口約束は認めません〜

婚約破棄された私が勝ち取った『養育費』 〜口約束は認めません〜
kanakuzu
かなえ
かなえ

養育費って誰のためのお金だと思いますか?

約束したのに払ってもらえていない人、最初からもらえていない人――本当にたくさんいます。

この記事では、そうならないために私が行動したことをお話しします。

はじめに

「養育費って、ちゃんと払ってもらえるの?」
「未婚の母でも、もらう権利ってあるの?」

そんな不安を抱えながら、誰にも相談できずにいる方もいるかもしれません。

私は10年前、婚約破棄され、未婚のまま子どもを出産しました。

でも私は、養育費という“親の責任”から相手を逃さず、きちんと形にすることができました。

養育費という“親の責任”から、相手を逃がさないと決めた

婚約破棄の話し合いで、彼の父親はこう言いました。

「必ず責任は取らせます」

でも、私はその言葉を鵜呑みにはしませんでした。

“本人じゃない誰かが言う責任”なんて、あてにならない。
本当に責任を取る気があるのなら、彼の口から聞きたかった。

――たとえ彼がそう言ったとしても、きっと信じられなかったとは思うけれど。

彼は、養育費のことには一切触れませんでした。
目を伏せたまま、何も言わず、会話らしい会話もないまま――話し合いは、静かに終わりました。

最後に、彼の父親が「それでいいな」と声をかけ、彼はただ黙ってうなずくだけ。
それが、彼なりの“返事”。

その姿を見たとき、私は心に決めたんです。
「養育費という“親の責任”から、相手を逃がさない」って。

沈黙のまま終わらせないために――私が調停を選んだ理由

もともと、養育費は払ってもらうつもりでいました。
でもあの場で、彼の姿を見て――その思いは、迷いのない強い決意へと変わったんです。

このまま黙っていたら、すべてが“なかったこと”にされてしまう気がしたんです。

誰かが代わりに動いてくれることなんて、ありえない。
自分が動かなければ、何も始まらない
ことはわかっていました。

こんなふうに、話し合いが成り立たないとき――
それでもどうにか“決めなければならないこと”があるときに使えるのが、調停という制度です。

私はその存在を以前から知っていました。
実際に、別の件で自分ひとりで申し立てたこともあります。

目を合わせることもなく、何も語ろうとしなかった彼と、これ以上話し合いができるとは思えなかった。
だから私にとって、調停を使うという選択は、ごく自然なことでした。

かなえ
かなえ

調停というと少し構えてしまうかもしれませんが、実際には冷静に話し合う場であり、弁護士がいなくても個人で申し立てることができます。

養育費を調停で求めるために必要なこと

養育費求めるための調停には前提条件があります。

  • 子どもがすでに生まれていること
     → お腹にいる状態では、調停はまだ申し立てられません。
  • 出生届が提出されていること
     → 法的に「子ども」として存在が認められている必要があります。
  • 相手との間に親子関係(認知)があること
     → 未婚の場合でも、父親が認知していれば調停の対象になります。
     → もし認知されていない場合は、「認知調停」や「認知の訴え」で親子関係を法的に確定させる必要があります。

以上がそろって、はじめて「養育費の取り決め」を調停で話し合うことができます。

でも、わかっていても焦る気持ちはありました。
早く動きたくても、今の自分にはまだ“できること”が限られていたんです。

だから妊娠中は、心穏やかに、生まれてくるのを待ちました。

焦っても何も始められないとわかっていたからこそ、
私は“そのとき”が来るまで、準備を整えていたんです。

子どもが生まれてすぐに出生届を提出し、
その足で妊娠中から相談していた弁護士事務所へ向かいました。

かなえ
かなえ

私はこの時が来るのを待っていたんです。

私の妊娠期間は、これからの調停に向けた準備期間になりました。

私はこうして“養育費”を得るための準備をしました

出産と育児の不安を抱えながらも、私は養育費のことを徹底的に調べました。

「養育費 もらい方」
「養育費 いくら」

などのキーワードでネット検索を繰り返していましたが、養育費をもらえていない人が思った以上にたくさんいることを知り、養育費がもらえないのはどんな場合なのかを検索し始めました。

「養育費 もらえない」
「養育費 調停」

などのキーワードでひたすら検索する日々。
でも、たくさん見た中で「後悔している」という人が多かったです。

こんなことを後悔している人が多い
  • 事前に準備をせずに離婚をしてしまった
  • 口約束で信用して離婚してしまった
  • もらえるだけでありがたいからと相手の言い値で妥協してしまった

早く離婚をしたかったという人、話し合いでの協議離婚であまりもめることがなかった人など状況は様々ですが、やはり養育費が払われていない事例が多くあるという事実―

そこには悲痛な訴えがたくさんあり、その家庭を思うと胸が締め付けられました。

かなえ
かなえ

こういうときってネガティブな情報ばかり見てしまうんですよね。

法テラスを利用して相談に行った

ネット検索で「後悔している」という人が多くいることを知り、
私は後悔したくなかったので、ネット上の先輩方の意見を参考に、役所や地域の子ども支援センターに相談したり、法テラスを利用して弁護士事務所にも足を運びました。

地域の子ども支援センターに相談したことで、ひとり親家庭に限らず、子どもを育てる家庭が受けられる支援を教えてもらったり、親身に相談に乗ってもらえたことで勇気も貰えました。

支援制度についてまとめてみましたが、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

子育て家庭が受けられる主な支援制度(全国共通:2025年4月調べ)
  • 児童手当
     → 中学卒業までの子ども1人につき、月額1万〜1万5千円(所得制限あり)
  • 子ども医療費助成制度(※名称や内容は自治体によって異なる)
     → 子どもの医療費(通院・入院)が無料または一部助成される制度
     → 多くの自治体で中学〜高校卒業まで適用(所得制限あり/自治体による)
  • 保育料の無償化(幼児教育・保育の無償化)
     → 3歳〜5歳のすべての子ども、および住民税非課税世帯の0〜2歳児が対象
     → 認可保育園・認定こども園などの利用料が無償に(上限あり)
  • 高等学校等就学支援金制度
     → 公立高校授業料は基本無償、私立高校も年収目安590万円未満で月額支援あり
  • 出産育児一時金
     → 健康保険加入者に対し、1児につき原則50万円(産科医療補償制度加入分娩機関で出産した場合)
  • 乳幼児健診(1歳半・3歳など)
     → 市区町村が無料で実施。身体測定・発達確認・育児相談などを受けられる
  • 児童扶養手当(※これはひとり親向け)
     → 子どもを扶養する父または母がいない家庭に支給される手当
     → 月額最大4万3000円程度(所得制限あり)

これらは基本的に日本国籍を持ち、日本国内に住民票がある子どもとその保護者が対象です
※一部は所得制限あり・申請必須のものが多いので、自治体窓口での確認が必要です
※自治体独自の支援(例:出産祝い金、チャイルドシート補助、保育補助)も豊富です

また、弁護士事務所に出向いて直接相談したことで、私の場合は3つの調停を申し立てることができる可能性があると知りました

  • 「婚約破棄」
     → 妊娠中でも申し立て可能
  • 「認知」
     → 出産後なら申し立て可能。親子関係を確定させるために必要です。
  • 「養育費」
     → 出産後なら申し立て可能
かなえ
かなえ

自分が動かなければ知らなかったことが多すぎました。

養育費は“子どもの権利”だと知った

調べて行動する中で、私は初めて知ったことがあります。

「養育費」って、なんとなく“俗称”のように思っていたんですが、
実際には家庭裁判所でもそのまま「養育費」という言葉でやりとりされている、きちんとした制度だということです。

民法第877条では、「親には子を扶養する義務がある」と定められていて、
この義務に基づいて支払われるものとして、実務上も広く“養育費”と呼ばれています。

つまり、養育費は親が「もらう」ものではなく
子どもが当然に「受け取る権利」として守られているもの。

実際に請求や受け取りを行うのは育てている親ですが、それは「子どもの代わりに子どもの権利を守る」役割なのです。

かなえ
かなえ

私は“親の義務”“子どもの権利”であることを知って、 「お願いする」のではなく、「当然のことを形にする」意識で動こうと決めました。

調停に向けた書類の準備は想像以上に大変だった

私が“何かがおかしい”と感じたのは、まだ彼と同じ部屋に住んでいた頃でした。
生理が数日遅れ、「もしかして妊娠してるかも」と思い始めた時期。

でもその頃、彼はあまり家に帰ってこなくなり、
実家の話をするときもどこか歯切れが悪くて、私はなんとなく感じていました。

――まさか別れるなんてこと、ないよね?
……でも、そう言われる気がする。

そんな直感があったからこそ、私はもう動き始めていました。

彼が株をやっていたことを知っていたので、
「後になって“お金がない”って言われたら困る」と思い、
証券口座や銀行の通帳など、手がかりになるものをスマホで撮影して記録しておきました。

電話のやりとりや彼の実家に出向いた時のやりとり、婚約破棄が決まった場でのやりとり、全部録音していました。
法テラスで相談した弁護士さんに
「何かあったときのために、記録はできるだけ残しておいてください」
と言われたからです。

妊娠中の時間を使って、ひとつずつ文字に起こし、写真を貼り付けて時系列でまとめておきました。

LINEのやりとり、妊娠・出産に関する記録、
相手の親から言われたすべて……
相手の収入情報になりそうな証拠……

そうしたものをひとつひとつ整理しながら、調停に向けた準備を重ねていきました。

「ここまでやるの?」と思う方もいるかもしれません。

でも私は、“逃げられる可能性”を、限りなく0%にしたかったんです。

生まれたばかりの子どもの出生届を出した足で、そのまま弁護士事務所に向かった日、
「ここまで準備している方はなかなかいませんね」と言われたのを、今でも覚えています。

かなえ
かなえ

録音を聞きながら文字に起こす、LINEのやり取りを貼り付ける作業…

その状況がフラッシュバックして…とても苦痛でした…

「勝ち取る」という表現がふさわしいと思う理由

そして今、あらためて思います。
“養育費を勝ち取る”という言葉は、やっぱり正しかった。

実際には、取り決めをしていなかったり、
「払うよ」と言われたまま口約束で終わってしまったり、
最初だけ支払われて途中で止まってしまう――
そんなケースが、少なくないのが現実です。

私のまわりにも、養育費をもらえていない女性がいます。

払っていない男性もいます。その中のひとりは、こう言っていました。
「だって、何も言ってこないから」

それを聞いたとき、ゾッとしました。
“言わなければ、なかったことにされる”――その現実が、目の前にあったからです。

「書面を残しておけばよかった」
「調停なんて大げさだと思っていたけど、しておけばよかった」
そんな後悔の声を聞くたびに、思います。

私は、ちゃんと行動してよかった。
そして、あのときの自分を、今も誇りに思っています。

かなえ
かなえ

私が行動しなければ、本当に“なかったこと”にされていたと思います。

友人の「何も言ってこないから」という言葉、今でもずっと胸に残っています。

月4万円――それは子どもの未来を守る力になった

月4万円。
それは、外から見れば“ただの金額”かもしれません。
安く感じる人もいるでしょうし、高く感じる人もいると思います。

でも私にとっては、あのとき行動した結果として、
子どもの未来を守る力となった“かたちある証”です。

この4万円は、「私のため」ではなく、子どもの未来のために受け取っているお金です。
だからこそ、私はこの金額にはっきりと誇りを持っています。

月4万円は、数字以上の意味を持っていた

調停の結果、私は月4万円の養育費を受け取れることになりました。

実は当初、私は弁護士さんにこう伝えていました。
「1万円でも、2万円でも、もらえるならありがたいです」と。
金額よりも、まずは“責任を認めてもらうこと”の方が大事だと思っていたからです。

でも結果として、子ども1人の場合の相場(2〜3万円)をふまえても、
私と彼の収入バランスに見合った妥当な金額として、4万円という形で取り決めができました。

実際の調停では、彼側の提案は月2万円。
それに対して、私の弁護士は6万円を提示しました。

当時の私は、大きく崩れたメンタルを心療内科に通いながら整えている状態。
今後もこれまでのように働き続けられるかどうか、まったく見通しが立っていない状況でした。

そうした事情も含めて、子どもと私が安心して暮らすために必要な金額として、6万円という金額が示されたのだと思います。
(「最初はあえて高めに要求するんだよ」とも言っていました)

最終的には、その中間を取るようなかたちで、4万円に落ち着きました。

ちなみに、彼側の弁護士は彼の母親の知り合いだったそうで、
家庭問題の専門ではなく、土地や商売関係に強いタイプの方だったと聞いています。
そうした背景もあってか、話し合いはどこかかみ合わない場面も多々ありました。

それでも私は、感情をぶつけるのではなく、
あくまで根拠と実態に基づいて、冷静に向き合うことを大切にしました。

だからこそ、この4万円という金額に、私は心から納得できています。

かなえ
かなえ

土地や相続に強い弁護士さんでも、家庭問題はまた別。
相談するなら、その分野に詳しい人を選ぶのがおすすめです。

払い続けてくれる彼に感じる誠実さ

初めて通帳に4万円が振り込まれていたとき――
「本当に、払ってくれたんだ」
それが正直な気持ちでした。

えらいな、と思いました。
本当に、誠実な人だったんだな、と。

私はかつて、彼と結婚して、
一緒に子どもを育てていく未来を思い描いていました。

でも彼は――
子どもを腕に抱くことも、一緒に成長を見守ることもなく、
これからも“養育費というかたち”だけで、その責任を果たし続けていくんだと思うと、胸が締めつけられるようでした。

もし、あのとき彼がもう少しだけ自分の意志で立ち向かってくれていたら――
きっと、別の未来もあったのかもしれません。

かなえ
かなえ

ほんの少しの勇気があれば、変わった未来もあったのかな――
そんなことを今でもふと思うことがあります。

でも、今はこのかたちで繋がっていることが、すべてです。

あなたへ伝えたいこと

養育費をめぐる悩みや迷いに、正解なんてきっとありません。

それでも私は、自分の経験を通して、どうしても伝えたいことがあります。

「こんなふうに考えていいんだ」と、少しでもあなたの心が軽くなるきっかけになれたら嬉しいです。

養育費は“子どもの権利”です

まず、これだけははっきり伝えておきたいのですが――

養育費は、「あなたのためのお金」ではありません。
それは、子どもが本来受け取る“権利”なんです。

法律でも、親には扶養義務があると定められています。
そして、子どもには「安心して育つための生活を受ける権利」がある。

その権利を守るために、実際に育てている親が“代わりに”請求・受け取りをしているだけなんです。

この話をすると、「なんだ、じゃあ私が遠慮する必要なんてなかったんだ」と、
ふっと肩の力が抜ける方が多いです。

もちろん、話し合いで済むならそれが一番。

でも、もし相手が逃げたり、はぐらかしたり、
「そのうち払うよ」と言って具体的な形にしないのなら――

どうか、行動してください。
あなたが黙って我慢し続ける必要なんて、どこにもないんです。

遠慮しているうちに、完全に音信不通になってしまうことだってあります。
そうなってからでは、遅いかもしれません。

子どもに伝える“かたち”として

私は彼のことを、今でも嫌いではありません。

遅れることはあっても、彼はこの10年間、ずっと養育費を払ってくれています。
「払ってくれている」という言い方が正しいのかはわかりません。

でも、彼の中にある誠実さは、ちゃんと感じています。

そして私は決めています。
子どもが成人したとき、養育費が振り込まれた通帳を丸ごとそのまま、渡すつもりです。

この10年、子どもは父親についてほとんど触れてきませんでした。
ただ一度だけ、「Where is my daddy?」と、小さな声で英語で聞かれたことがあります。

きっと、私が英語を理解できないと思って、あえて英語でつぶやいたんだと思います。

なぜ小さな日本人の子どもがそんな英語を知っていたのか――
それはまた、別の話ですね。

そのとき私は、驚きながらも落ち着いた声で明るくこう答えました。
「最初からいないよー」と。

それ以外に、父親のことを聞かれたことはありません。
でも、いつかまた聞かれる日が来るかもしれません。

そのとき、私はなんて答えようか――
まだ決めていません。

でもきっと、そのときが来たら、
この子の目を見て、正直に、「あなたの父親」のことをやさしく伝えるんだと思います。

おわりに

この記事が、もしあなたの不安や迷いの中で、
ほんの少しでも背中を押すきっかけになれたなら――
私は心からうれしく思います。

あなたは、ひとりじゃありません。
そして、あなたが守ろうとしているのは、子どもの未来です。

だからこそ、どうか忘れないでください。

あなたにも、ちゃんと“できる”ということを。
私ができたのだから、きっと、あなたにもできる。
私はそう信じています。

かなえ
かなえ

「私にもできるかも」って、思えたでしょうか?
ほんの少しでも、あなたの心が動いていたら嬉しいです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

このブログでは、これからも私の経験から学んだことをお届けしていきます。
少しでもお役に立てたら嬉しいです♪

また次回の記事でお会いしましょう!

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