名前を知っているAIと、知らないAI
娘のために作っている英語アプリに、ちょっとした設定を足しました。
名前と、年齢と、好きなものを入力するだけの、地味な機能です。
設定を終えてから、AIとの英会話を始めました。
AIが最初のあいさつで娘の名前を呼びました。
「え、名前知ってるの?」
娘が笑いました。それだけで、いつもより会話が弾んでいるように見えました。
名前を呼ばれること
思い返すと、私自身もそうです。
コンビニの店員さんに「いらっしゃいませ」と言われるのと、行きつけの喫茶店で名前で呼ばれるのとでは、全然違います。
同じ「いらっしゃいませ」でも、名前を呼ばれるだけで「自分を知ってくれている」と感じます。
娘にとってのAI英会話も、同じだったのかもしれません。
「Hello! How are you today?」と言われるのと、名前付きで呼ばれるのとでは、「誰にでも言っている言葉」と「自分に向けた言葉」くらいの違いがあります。
好きなものに「ゲーム」と「アニメ」を登録したら、AIが「好きなゲームある?」と英語で聞いてくれました。
娘が嬉しそうに答えていました。好きな話題だと、英語でも言葉が自然と出てくるようです。
声を選んだ娘
もうひとつ、AIの声を選べるようにしました。
やさしい男の子の声、おちついた女の人の声、元気な女の子の声。6種類を用意しました。
娘は全部の声を試していました。一つずつ聴いて、首をかしげたり、うなずいたり。
最終的に「Puck」という元気な女の子の声を選びました。
「この声のほうが友達っぽい」
私はその言葉にはっとしました。
娘にとって、このアプリは「英語の勉強ツール」ではなく、「友達と話す場所」なのかもしれません。
声を選ぶという行為は、どんな友達と話したいかを選ぶことだったのかもしれません。
親が作るということ
このアプリは、私が娘のために作っています。だから、娘が何を好きか知っています。
どんな声が好きか、推測できます。
でも、それをアプリに組み込んでいなかった。知っているのは私の頭の中だけで、アプリには伝わっていなかった。
名前を入力するだけの機能。好きなものをタグで選ぶだけの機能。声を選ぶだけの機能。
どれも作るのにそこまで時間はかかりませんでした。
でも、それがあるとないとで、娘のテンションが全然違います。
「知っている」ことと「知っていることをちゃんと反映する」ことは、違うんだなと思いました。
遊ばないとわからないこと
4択クイズも作りました。
60秒の制限時間で、正解するとボーナスタイムが足されます。
娘が遊んでいるのを見ていたら、ずっと終わらないことに気がつきました。
正解するたびに時間が増えるので、ある程度わかる問題なら時間切れにならないんです。
「終わらないゲーム」は楽しくありません。
ハイスコアを目指す意味がないから。
ボーナスタイムを調整して、時間の上限も設けました。
あと、プレイ中に「やめたい」と思ってもやめるボタンがなかったので、それも追加しました。
作ったものを自分で触ってみること。娘に触ってもらうこと。
そうしないと見えないことがあります。
頭の中だけで「こうすれば楽しいはず」と設計しても、実際に遊ぶと違うんです。
小さな設定が距離を縮める
今日やったことは、どれも技術的には小さなことです。
でも、名前を呼ばれた娘が笑った瞬間を見て、こういう小さなことの積み重ねが大事なのだと感じました。
派手な新機能を作ることより、使う人のことを少しだけ知っている機能を足すこと。
そのほうが、アプリとの距離を縮めるのかもしれません。
これからも、娘が「このアプリは自分のためにある」と感じてくれるような、小さな設定を足していきたいと思っています。

